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登園中ゼリーを落とした4才児に何を言うのか

お父さんであること, 子育てを考える, 日記, 人気記事(100シェア)

『おとーしゃん!』

ベビーカーを止めてたいきの方を振り返ると、たいきが悲しそうな顔で立っていた。

手には小さなひとくちゼリーのカップを持っている。

それをこちらに向けて差し出している。

『おちちゃった』

よく見ると、確かに空だ。

落としちゃったのか。

まだ玄関を出て30メートルも来ていない。

ゼリーを渡されて、なんかはしゃいだ声を上げていたから、おおかた飛び跳ねるかなにかして、落としてしまったのだろう。


「落としちゃったのか」と言おうとして、思い直す。

大人から見れば落としちゃったのかもしれないけど、たいきは落ちちゃったと言った。

落ちちゃったのだ。

落としたのは子供じゃなく、ゼリーと容器の摩擦力不足。

そして重力。

誰の責任でもない。

「落としちゃった」は責める言葉。

責めたいわけじゃない。

「落ちちゃったのか」

『うん』

たいきは相変わらず悲しそうな、そして不安そうな顔をしている。

もう、いつものように保育園にはギリギリの時間。

スムーズに行っても、間に合うかどうか。

はぁ。

深呼吸。


自分に言い聞かせる。

ここで、もうひとつゼリーを取りに帰ってやるのだ。

なぜか。

私はそういう父親でありたいからだ。

たいきはこれを、事故と思ってるかもしれない。

事故なら、原状回復してやるのが父親のつとめだ。

たいきはこれを、失敗と思っているかもしれない。

失敗なら、許すのが父親のつとめだ。

いや。

そもそも、注意喚起してやらなかった。

見ていてやらなかった。

たいきが落ち着いて食べられるようにもっと早く支度してやらなかった。

たいきがゼリーを食べるのを立ち止まって待ってやらなかった。

失敗したのは誰だ。

お父さんのほうだ。

本来私は、たいきに謝らなきゃいけないのだ。


「よし、もう一個取りに帰ろう。」

『え?』

たいきが、びっくりした顔で聞き返す。

「落ちちゃったもんね。ゼリー、まだあるから取りに帰ろう。急いで!」

たいきが、みるみる笑顔になる。

『うん!』

たいきはくるりと踵を返すと、飛び跳ねるようにうちに向かって走っていった。

食べられないかもとか、怒られるかもとか、そういう不安がなくなったのが背中越しにも足取りからも伝わってくる。

よかった。


新しいゼリーのフタのビニールを開けてやって、たいきにわたす。

ここでも一言言いたくなる。

「今度は落とさないでよ」「気をつけてね」なんて。

危ない危ない。

そんなことはたいきはわかっている。

ゼリーを落としちゃって、悲しくて、不安で『おとーしゃん』とわたしの背中に呼びかけたときに、反省も後悔もしているのだ。

それ以上父親がなにか言う必要などなにもない。

「どうぞ」

『ありがと!』

ほらね。

この『!』のところ。

これで十分なのだ。

たいきはゼリーをもらえて嬉しい。

安心した。

喜んだ。

だから、もう落とさない。

大丈夫だ。

ゼリーを持って飛び跳ねたら落ちることを知ったし、気をつけて運ぶこともたいきは覚えたのだ。

ついでに、失敗しても許されること、やり直せることまで知ってくれれば、何も言うことはない。

そんなことを考えながら、たいきがゼリーを頬張るのを眺めていた。

何その寝方
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