今が一番幸せ
お迎えに行くとたいきが嬉しそうな顔で走ってくる。
そしてどーんと抱きついて、また向こうにかけていく。
「のはなさんのところに行くけど、たいきもいく?」
『いかなーい!おかたづけする!』
偉い偉い。
のはなのいる保育室に行くと、みんな、といっても3人ぐらいだけど、でYouTubeを見ている。
保育士さんがのはなに「のはなちゃんお父さんだよ」と声をかけてくれる。
のはながはっと顔を上げて、こちらをみてにこーっと笑う。
そしてかけてくる。
どーんと抱きついて、また向こうにかけていく。
こちらは荷物を取りに行くのだ。
結構な大きな荷物を、自分で持ってきたりする。
危なっかしくて仕方ないけど、意外とこけない。
まあ、こけたところで保育園の床だから怪我なんかしないけど。
二人の今日の様子を先生方から聞いて、ちゃんとご挨拶をして、玄関。
『おとーしゃん、くつとくつした、とって〜』
たいきは最近あまえんぼだ。
自分で取れるのは知ってるけれど、甘えたいときもあるのだろうと思って取ってやる。
のはなに靴下と靴を履かせようとあぐらをかくと、たいきがのってくる。
『はかしぇて』
のはなとたいき、両方を膝にのせるのはなかなか。
ましてその状態で靴下だの靴だのをはかせようとすると結構大変。
しかもくすぐったいとかなんとかいってたいきものはなも転げるように笑う。
一筋縄では行かないのだ。
保育園を出るとのはなが抱っこしてほしいとか歩きたいとか上着を脱ぎたいとか寒いとか、ベビーカーに乗りたいとか抱っことか。
とにかく色んなことを言う。
そのたびに足を止めて、たいきに待ってもらって。
まあ、遅々として進まない。
結局のはなは抱っこ。
片手でベビーカーを押しながらたいきと歩く。
たいきはいきなり道に飛び出すようなことをしたことはないとはいえまだ4才。
油断するわけには行かない。
自動車が来るたびに「車が来たよ!怖い怖い!」と声をかける。
そのたびにうわぁとかきゃあとかいって近くによってくる。
本当は手をつないであげたいんだ。
たいきは手を伸ばせば、必ず握ってきてくれる。
たいきだって手をつなぎたいのだ。
いまはそれができないのがもどかしい。
腕の中でのはながなにか一生懸命おしゃべりをしている。
いろんな子音を発音できるようになった。
『しょーぽっ、どー、たーやれー、ぱっ』
何が言いたいのかは全くわからない。
わからないけれど、ずっとなにか喋っているから相槌は打つ。
たいきはたいきで何やら大声で話しかけてくる。
それにも返事はする。
二人の相手をしながら重いベビーカーを押していると頭が変になりそうになる。
こんな日常がいつまでも続くわけじゃない。
わかってはいるけど、いつまでも続いてほしいと毎日思う。
たいきと毎晩二人で月を見上げたころもそうだった。
その日常はあっという間に過ぎ去ってしまったけれど。
いま、その頃を思い出して寂しいわけじゃない。
悩むことがないわけじゃないけど。
今が一番幸せなのだ。
きっと来年も再来年もそうなんだろう。
いつまでそうなんだろう。
いつまでもそうであってほしいけれど、そうもいかないんだろうなということは、なんとなくは分かるのだ。
今のうちに、この幸せな日々をくれる二人に、そして二人を生んでくれた奥さんに感謝しておこう。

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