森喜朗会長『引責』辞任はおかしい
東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が辞任するという。
これを「引責」辞任と毎日新聞が報じているようだ。

しかしこれはおかしい。
引責というのは辞書を引くと
[名](スル)責任を自分の身に引き受けること。責任を取ること。「引責辞職」
デジタル大辞泉
とある。
「引き受ける」だ。
これは、自分の責任じゃない(かもしれない)ことの責任を取るから「引き受ける」となる。
例えば、社員が不祥事を起こしたときに社長が引責辞任したりする。
もちろん会社のことには社長が全責任を負うのだ、ということはあるけど、それはそれとして、これを引責と呼ぶのは違和感はない。
あるいは、野球チームなんかの監督が成績不振のために引責辞任したりする。
もちろん球団のGMやら選手やらコーチやらにも責任はあるに違いないけど、そういう人たちに責任を押し付けず、自ら一身に責任を負うから「引責」だ。
引責というのはそういうことだ。
森喜朗が自らの舌禍で責任を取るのは引責でもなんでもない。
ただただ自分一人で責任を取るべき事件を起こして、その責任を自分で取るだけだ。
こういうのは引責辞任とは呼ばないのだ。
週刊誌や個人のブログならともかく、新聞社にはせめて正しい日本語を遣っていただきたい。
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