お父さんはずっと意地悪
おとうしゃんはずっといじわるだよう。
たいきはそう言って泣くことが増えた。
あれはだめこれはだめ。
だめだめだめ。
確かに、たいきにダメということが増えた。
のはなの遊んでるおもちゃを取っちゃだめ。
階段を上ってるのはなを引っ張っちゃだめ。
一日にコンビニで二つ以上お菓子を買うのはだめ。
お父さんの顔をぬいぐるみで思い切り叩いちゃだめ(メガネをしてるので痛いのだ)。
電車の椅子に靴はいたまま立っちゃだめ。
まあ、そんなことだ。
こんなことが二三個重なると、泣き出すのだ。
怒りかたもだんだん複雑になってきた。
『もう、おとうしゃんきらい!』
くらいではお許しいたはだけない。
『おとうしゃんははろうぃんさんかしないで!』
『おとうしゃんとはおふろはいらない!』
『おとうしゃんとはおかしもたべない!』
『おとうしゃんはでぃじゅにーらんどもきちゃだめ!』
『おとうしゃんとはおんせんもいかない!』
お父さんとは~しない!シリーズが延々続くのだ。
夜、たいきが私の部屋に来て、一緒に寝たいというので、抱っこをした。
腰がいたいので座って抱っこだ。
最近抱っこが足りなかった。
昨夜も今日の帰り道もたいきの目の前でのはなを抱っこしていた。
まだ4歳なのだ。
「最近お父さんは意地悪だなぁ。ごめんね。」
たいきは私の胸に顔を埋めたままうなずいた。
「前はこんなに意地悪じゃなかったもんなぁ。」
たいきはもう一度うなずいた。
たいきの背中をさすりながら話しかける。
「たいきは出来ることがどんどん増えて、やりたいこともどんどん増えて、だんだんお父さんはたいきに全部はさせてあげられなくなって来ちゃったんだ。ほんとにごめんね。」
話が長すぎただろうか。
たいきはアースグランナーのレオチータの特徴について説明し始めた。
まあ、いい。
別に理解してもらおうっていうんじゃないんだ。
理由はなんであれ、意地悪は意地悪。
それはかわらない。
もう少し、寛容で、能力の高いお父さんになりたいなぁ。

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