さらばソニー~社名変更に寄せて
ソニーという会社は、いわば戦後の日本の復興の象徴であって。
プロジェクトXで描かれていた、世界最小のトランジスタラジオで欧米に殴り込み、1962年、ニューヨークの五番街に日章旗と星条旗を掲げたショールームを作ったというエピソードには私も心を躍らせたものだ。
1979年にアメリカでものされた「ジャパンアズナンバーワン」と重ねて語られるのは、トヨタでも東芝でもなくやっぱりソニーなのだ。
スティーブジョブズ率いるアップルがiPodやiPhoneを作ったことについて、なぜ日本でそれが生み出されなかったのかということを語る本や記事はたくさんあるけれど、それだってやっぱり、日本で、といいながら誰もが「なぜソニーができなかったのか」と思っている。
日本を代表する企業というのはいくつもあるのだけれど、その中でもソニーはひと際燦然と輝いていたのだ。
久しぶりにスマートフォンが壊れた。
もう、スマートフォンの修理というのは何度も経験しているので、どうすればいいのか、何が起こるのかは全部わかっている。
代替機を借りて、しばらくそれを使って、大体2週間~3週間後に修理されたスマートフォンが戻ってくる。
スマホの修理の何が面倒って、この代替機と、修理されてきたスマートフォンにいちいち各種設定をしなきゃいけないのがめんどくさい。
大体、毎回一日仕事になってしまうのだ。
うんざりしながらSoftbankの店舗に向かった。
どうもこのXperiaというやつと相性が悪い。
今使っているXperiaは二代目。
私は元々「ジョグダイアル」という機能がついていることが気に入って、ソニーのガラケーを長らく使っていた。
もちろん、ガラケーでいち早く音楽を聴ける機能がついていたのもソニーで、それもソニーを選んだ要因としては大きかった。
当時、まだ本体ではなくて、データ容量がメガバイトで記載されていた外付けのデバイス(SDカードではなかったような気がする)に20曲分くらいしか入れられなかった頃の話だ。
それでも「音楽を持ち歩ける」ということに私は感激していたのだ。
ジョグダイアルが廃止され、ソニーが大リストラを始めたころだっただろうか。
さすがに仁義なき大リストラの現場を間接的に見ていてソニーが嫌になってシャープ製品に乗り換えた。
2000年代の後半あたりかな。
それからしばらくはAQUOSだったのだけど、そのシャープが鴻海グループに買収されてしまって、やっぱり日本企業を応援したいということでまたソニーに戻った。
4年ぐらい前のことだ。
ところがこのXperiaが結構壊れる。
1代目は2回修理して、3回目には修理するより機種変更した方が安いと言われて機種変更したのだった。
で、2代目。
画面の焼けやらボタンの操作不能やらで一昨年あたりに1回か2回修理した記憶はある。
その後はそこそこ調子よく動いていたのだけど、その間に私の方ではNuro 光(ソニーの関連会社がやっている)のことで散々振り回され、Nuro 光をあきらめたら今度はSo-netの工事で数か月待たされて、結局Softbank 光にしたら1か月もかからず工事してもらえた、なんてことを経験した。
で、最近スマホの画面が少し変色しているなとは思っていたのだけれど。
今朝になっていきなり電源ボタンも音量ボタンもきかなくなってしまった。
何にもできない。
リモートワーク真っ盛りの今、スマートフォンが使えなったら何にもできないのだ。
しかたなくSoftbankショップに行って、修理を依頼しようとして。
ふと思いついて聞いてみたのだ。
このスマートフォンにして何か月で何回目の修理か、と。
店員さんは10分くらいかけて調べてくれたのだけど。
なんと30か月も使っていないのに、今回で5回目だといわれた。
半年に一回修理しているのだ。
そういえば前回だか前々回だかには「前回の修理から半年たっていないので保証(補償?)がききません」と言われて、結構もめたのだった。
だって、自分で壊したんじゃないのだ。
買ったものが普通に使っていて、壊れて、修理して4か月くらいでまた壊れて、それで治してもらおうと思ったらその言い草だったのだ。
そんなことまで思い出してしまって、心底嫌になってしまった。
「何でもいいから、ソニー以外のスマートフォン下さい」
私がそう、店員さんに言ったとき、店員さんも苦笑いしていた。
ソニータイマー、という有名な言葉がある。
ソニー製品が、保証期間が切れたとたんに壊れる現象を揶揄して言うのだけど。
今回のこのXperiaはソニータイマーどころの話ではない。
不良品だった、というのにもとどまらない。
なおしてもなおしても壊れるのだ。
カメラがくそでも。
ポケモンGoがやたら処理落ちしても。
それでも我慢して使い続けてきたけれど。
さすがに堪忍袋の緒が切れた。
会社名を変えるとか、金融部門の収益がどうとか。
そんなことより真面目にものづくりをやったらどうなんだろうか。
たいきやのはなが大きくなったころには
「昔、ソニーという会社があってね」
という話をすることになるのだろうか。
私はもう二度とソニー製品を使おうとは思わない。
そういう人は、どんどん増えていくのだ。

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