バッタが世界を変える?~蝗害と新型コロナウイルスは天譴なのか
蝗害、と書いて、コウガイと読む。
蝗というのは訓読みだとイナゴなのだけど、漢字のもともとの意味はバッタ。
バッタが大量に発生して、大変なことになるのが蝗害だ。
今、蝗害が発生しているというのはたまたまこの動画を見て知ったのだ。
バッタだ。
どこで最初にこの言葉を覚えたのか自分でもいまいち思い出せないけれど、旧約聖書のモーゼの下りに蝗害の話が出てくるし、それを映画化した『エグゾダス』でもその様子が出てきた気がする。
『十戒』に出てきたかは覚えていない。
ヨハネ黙示録にもアバドンだかパズスだか(つまりはいわゆる「魔王」的なやつだ)がバッタの群れを引き連れて現れるというような話があったような気がする。
でも多分最初に見たのは中国の歴史系の本だっただろう。
ひょっとしたら田中芳樹とか宮城谷昌光あたりの小説だったかもしれない。
まあ、その辺はどうでもいい。
とにかくバッタだ。
バッタがこれでもかというほど大量発生して、国中の穀物という穀物をすべて食べつくして、飢饉になったり国が滅びたりするのが蝗害だ。
しかし、21世紀にもなって、今時そんなものが発生するのだとは知らなかった。
今発生しているバッタの大群は、群れのサイズが40km×60km。
数にして4000億匹らしい。
全然ぴんと来ない。
えーと。
40km×60kmというのはちょうど神奈川県の広さぐらい。
で、4000億匹というのは、そうだな、6畳の部屋に1500匹ぐらいのバッタがいるくらい。
あるいは超ざっくりいうと、目の前の空間に20センチおきにバッタが飛んでいる感じ。
その状態が神奈川県の広さ分続いていて、さらにそれが穀物を食い尽くしながら一日150km移動する。
えーと。
今日神奈川県と静岡県半分を食い尽くして、明日は愛知県まで、明後日には三重だか滋賀だかまで食い尽くして、翌日は大阪から神戸まで全部食べつくするとか、そんな感じ。
食い尽くす、といのはいい加減な表現でもモノの例えでもなく、文字通り、そこにある穀物の類をすべて一粒残らず食べつくすのだ。
ちなみに、3か月とか半年後にはこれが数十兆匹とかになっているかもしれないらしい。
さらにちなみに、こいつらはうっかりすると人も食べるらしい。
バッタが人を食うのだ。
ちなみに英語では『locust plague』というらしい。
これを見て顔が青ざめた人もいるだろう。
そう。
locustはバッタ。
そしてplagueは、かつてヨーロッパの人口を1/3減らした病気。
黒死病、ペストのことだ。
こいつが、アフリカで発生して数か国通過して、そこから中東を通ってインドまで移動したという。
そしてヒマラヤ山脈にあたって、そこで死ぬかと思いきや、Uターンしてまたアフリカまで戻ってきているというのが今の状況。
昔々と違って、温暖化してたり、人間もたくさん穀物を作るようになったので、バッタも食べるものがなかなかなくならなくて、過去にないくらいの勢いで増え続けているのかもしれない。
当然、蝗害について非常事態宣言を出している国もあれば、コロナよりも重要な課題として取り組んでいる国もあるらしい。
蝗害がすごすぎて戦争を中断したところもあるとか。
しかし、なんというか。
蝗害と疫病が同時にいっぺんに襲ってくるなんて、歴史の本で読んだような、典型的な国が亡びるやつだ。
経済がグローバルに地続きになっているこの時代に、蝗害の影響が日本にどういう風に来るのか想像もつかないけれど。
とにかく何かとてつもなくヤバい気がする。
古来、天災や災害は「天譴」(てんけん、天から為政者への罰)と呼ばれた。
つまり、為政者や王朝を交代させるほどの力を持っていたのだということではあるのだけど、それはそれとして、そのときの世界の体制に「No」を天が突き付けたということなのだ。
この蝗害と新型コロナウィルスが誰への「No」なのかはわからないけれど、何か、「天譴」という言葉を想起せざるを得ないほどの猛威だ。
それも、特定の国に対するというより、世界に対すると言っていいレベルの規模だ。
それが、どちらかひとつならともかく、ふたつなのだ。
天からの「No」などというアヤシイものじゃないとしても、とにかく世界の体制なり状況なりが一変してしまうような力を持っているものが二ついっぺんにおこっているということなのだ。
半年後、1年後、ひょっとしたら3年とか5年後ぐらいかもしれないけれど、後から振り返ったらあのコロナと蝗害は確かに天譴だったね、あれで世界が変わったね、ということになるかもしれない。
信じるか信じないかは、あなた次第です。
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