コロナ自粛の今、奥さんにも一人時間を
たいきはずいぶん眠たかったらしい。
風呂は遊びもせずに早々に出た。
今日は夕方すごい雷の音がしていたのがいったんは落ち着いていたのだけど。
ここに来てまた雷光と雷鳴がすごい。
ベートーヴェンの交響曲第六番『田園』ヘ長調(レナード・バーンスタイン、ニューヨークフィルハーモニック)のレコードをかけてやる。
名演と呼ぶのかどうかと言えば、まあそうのとは少し違うのかもしれない。
でも、外連味のない、巧まないこの演奏には、他の演奏にはない魅力がある。
落語評風に言えば、くささがない。
それでいてひとつひとつのパートがきちんと粒立って、音の輪郭、作曲家の思いがはっきりと伝わってくる。
名盤なのだ。
ひところこのレコードを、たいきの寝かしつけでよく使っていた。
まだバッハの無伴奏チェロやベートーヴェンのピアノソナタばかり聞かせていたころだ。
オーケストラのようにいろいろな音がする音楽ではなかなか寝なかったたいきが、このレコードでは実に気持ち良さそうに寝た。
名盤なのだ。
ただし、今日かけたのはあえてB面。
第三楽章からだ。
第四楽章の雷鳴のパートでそれを説明してやったら、雷に怯える気持ちが少し和らぐかねということで。
たいきは大人しくレコードと私の話を聞きながら着替え、歯磨き、片付けと淡々とこなして、シンフォニーが終わる頃にベッドにはいった。
いつもはここでゲームをするのだけど、今日はそれもなし。
『ぽけもんのおはなしして』
たまごから生まれたピカチュウが、ミューとイーブイとイワークとゲンガーとファイヤーと遊ぶお話をしてやって。
それが終わると
『もうねる』
と言って布団をかぶってそのまま眠ってしまった。
ひとあし先に私の寝室でお母さんに寝かしつけされているはずののはなのご機嫌な声が聞こえる。
今度はそちらに参戦。
のはなははいはいしたり、ポータブルスピーカーをつかんで遊んだり。
全然寝る気配がない。
とりあえずGrace Vanderwaalの曲をかけるけど、きゃあきゃあ言っている。
お母さんがいると楽しい気持ちが止まらないんだろう。
特に、のはなにとってこの寝かしつけの時間はお母さんを独り占めできる貴重な時間だ。
しばらくふたりでのはなの相手をしてやっていたのだけど、いっこうに寝る雰囲気にならないので、眠たくなった奥さんは風呂へ。
のはなは少し寂しそうにしたけれど、促されて私のとなりに寝転がった。
とはいえなんか興奮ぎみ。
音楽を止めて、子守唄を歌ってやる。
ゆりかごの歌、山の音楽家、椰子の実、と三曲歌ったら寝てくれた。
そのあとは諸戸詩乃のモーツァルトピアノソナタ全集をAmazonミュージックで流しておいた。
4月末から体調不良だったこともあってほとんど外出していなかったのだけど、今日は久しぶりに奥さんに子供二人の世話を頼んでオフィスに行かせてもらった。
なんとまあせいせいした気持ちになることか。
今まで、ワンオペは心を壊すということはずっと思ってきたけど、ずっと家にいて、ずっと子供と過ごすのはやはり精神的に疲弊するんだなと、改めて実感した。
私はワンオペだったわけでは全然ないのに、それでもこれだ。
奥さんもいよいよ仕事復帰するけど、まだ当面在宅勤務になるらしい。
平日でも土日でもいいけど、どこかで一日、ひとりで外出するような時間を奥さんにも作ってもらわないとと思っている。

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