PVアクセスランキング にほんブログ村

もしも魔法をひとつだけ使えるようになるなら

日記

のはなは真っ暗だと寝ない。


いや。

ひょっとしたらもう、真っ暗でも寝られるかもしれないけど、今まで部屋を真っ暗にして寝かしつけたことはない。

部屋の明かりをつけると明るすぎるから、廊下の明かりをつけて、ドアを少しだけ開けて光を取り込む。

そのドアのむこうには奥さんの寝室のドアがあるからか、のはなは眠くなるまではそっちを見ていることが多い。

私はいつも静かに音楽をかけて、大体はとんとんもせずにじっとのはなのとなりにごろんと横になっている。


とんとんなんかするとむしろなかなか寝ないのだ。

ここで私がごそごそ動いたりのはなにさわったりすると、のはなは大体泣き出してしまうから、わたしはひたすらじっとしている。

ひたすらじっと待っていると、でも大体数分でのはなは私の顔の方に向き直る。

そのときちゃんと私がのはなを見ていると、のはなは私の顔を見て安心するのか、それとも『ああ、やっぱりお母さんじゃなくてこいつか』と思って諦めるのかは知らないけど、自分の顔を手でひとこすりして、目をつぶって眠ってしまう。


その日は、のはながなかなかこちらを向かなかった。

理由は途中で気づいた。

ドアがいつもより大きくあいていたのだ。

明るいし、お母さんの部屋のドアははっきり見えるし。

見つめるのはなの後頭部から

『泣くぞ』

という気迫が伝わってくる。

衣擦れの音ひとつ立てても泣き出すことは明らかだ。

ただじっと待つ。


だんだん私の頭を支える腕がしびれてくる。

のはなはこちらを向かない。

ドアの方、というか、光の方を見ている。

ドアを閉めに行きたいけど、そうするとせっかくおとなしく静かにしているのはなが泣き出してしまう。

せっかく落ち着いているのだから、それはなんとしても避けたい。

のはなの顔は見えないけど、眠っていないことは気配でわかる。

ドアよもう少しだけしまれ!と心のなかで念じてみるけど、もちろんドアは微動だにしない。

もし何かの実を食べて変な能力が身に付くとか、悪魔に魂を売るとか、マーリンかガンダルフかダンブルドアか誰かに習ってひとつだけ魔法を覚えられるとかいうことがあれば、私はドアに触らずに20センチだけ閉める力がほしい、と心から思うけど、取り急ぎそんな機会は今まではなかったし、今すぐそういうことにもなりそうにもない。


そんなことを考えながらのはなの後頭部を延々眺めていることが、時々ある。

箱から出された袋かティッシュを元通りにする魔法がほしいこともある
にほんブログ村 子育てブログ 幼児育児へ
にほんブログ村
==================

↑↑↑
ランキング参加中。応援ありがとうございます。