アンナ・クヴシノフ(Anna kuvshinov)がすごい
たいきにこのレコードを聞かせていた。
聞かせていたといっても、生活のBGMとして流した、ということだけど。
J.S.バッハの『2声のためのインヴェンションと3声のためのインヴェンション』というやつで、『インヴェンションとシンフォニア 』とも呼ばれている。
演奏しているのは盲目のオルガニスト・チェンバリスト、ヘルムート・ヴァルヒャ。
するとたいきが、
『これ、なんのおと?』
と聞いてきた。
一瞬、悩んだ。
えーと。
チェンバロ、クラヴサン、ハープシコード、クラヴィコード、、、クラヴィーア?
どれで教えよう?
三才児のいうことだからあまり深い意味はないだろうけど、これは、えーと、とりあえずチェンバロにしとくけど、を教えるチャンスだ。
興味を失わないうちにと、急いで答える。
「これはね、チェンバロっていうんだよ。見てみたい?」
見てみたいというので、テレビをつけてYouTubeで動画を検索する。
同じ曲がいいから、検索ワードは
「invention bach」
ピアノで演奏してるのもあるから、サムネイルでチェンバロっぽいやつを探していると、この動画が出てきた。
これなら多分、チェンバロだろう。
ん?
なんか随分小さな女の子だ。
でも、明らかにコンサートだ。
多分、ヨーロッパの教会だろう。
チェンバロのコンサートとか録音は、教会で行われることも多いのだ。
うちのオーディオセットでも、教会ならではの音の響く感じが伝わってくる。
シチュエーションからして特別な演奏なのだということは明らかだ。
どうも動画の頭の方に名前と思しき文字列の横に(9)って書いてあったけど、9才ってこと?
しかし、顔に似合わずというか、演奏がすごい。
チェンバロというのは音の強弱がつかないので楽器そのものの表現力は低いのだけど、それにしても生き生きとした、心地よい演奏。
いや、9歳の女の子が弾いているなら、普通は正確さをほめるくらいなはずなのに。
なんというか、澄み渡る風の中にさわやかな情熱を感じるというか。
祈りにこたえて語りかけてくる神の存在を感じるというか。
なんだこれ。
破格の才能だとしかいいようがない。
Anna Kuvshinov(アンナ・クブシノフ、と読むらしい)という名前を頼りに調べてみたけれど、あまり情報は出てこない。
とりあえず、この演奏をした当時、本当に9才らしい。
そして、ロイヤルコンセルトヘボウコンペティションという、9歳から14歳までの子供のためのコンクールで優勝したらしい。
ロイヤルコンセルトヘボウというのは、あまり日本では有名じゃないかもしれないけど。
クラシックファンなら知らない人はいない。
オランダを本拠としていて、100年以上の歴史を持つ、ヨーロッパの名門オーケストラのひとつだ。
世界の3大オーケストラとまでは言わないのかもしれないけど、間違いなく世界トップレベルのオーケストラ。
そのロイヤルコンセルトヘボウ主催のコンペティションということは、かなりの権威あるコンクールと言って間違いないだろう。
最年少の9歳で優勝したというから、そりゃ演奏はすごいわけだ。
2016年に9歳ということは、2020年の今はまだ13歳。
情報が出てこないのは仕方ない。
まだ勉強中なのだろう。
しかし、大した才能だ。
いつか来日してくれれば、生で演奏を聴く機会だってあるかもしれない。
またひとつ、生きる楽しみが増えた。
たいきはこの動画が気に入って何度も見たがった。
いい演奏だから当然だ。
「たいき、この動画好き?」
『うん。しゅてきなおようふくきてるね!』
そこか。
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