夢と魔法の日々はいつか終わる
のはなのディズニーデビューの夜。
二人が寝静まったホテルの居室で、アコースティックギターの『A whole new world』をかけていた。
どうも奥さんがそれを聞いていて、随分感傷的な気持ちになったらしい。
あと何回、子供たちとディズニーやら、旅行やら行けるかなぁなんて。
まだ、のはななんて産まれたばっかりなのに(笑)とは思うけど。
四人で旅行できるのがたいきが中学校に上がるまで(小学生のうちまで)とすると、たしかにそれってあと10年もないのだ。
夏休みと冬休みと春休みとかだけだとすると、最大でもあと30回足らず。
多いようで、少ない。
『そうなったら、また二人でディズニーランド行こうよ』なんて言ってみたけど。
そして、私は奥さんのこともディズニーランドも大好きだから、もちろん本気だけど。
とはいえその時は『ここでたいきが喜んだ』とか『あそこでのはなが笑った』とか話しながら行くことになるのかなぁ、なんて奥さんは言う。
まあ、そうなるだろうな、と私も思う。
そう思ったら随分寂しい気持ちになった。
英語の歌ってすごいな、と思うのは、どんな歌でも二人称は『you』だし、男言葉とか女言葉とかないから、それが男性に向けた歌なのか、女性に向けた歌なのか、それとも子供に向けた歌なのかみたいなことは、歌う人聞く人でシチュエーションが自由に変えられるってこと。
奥さんが聞いた『A whole new world』を適当に、まあ全部こじつける訳じゃなく、それっぽいところはそれっぽく、『you』を『君たち(たいきとのはなのつもり)』にして翻訳してみる。
I can show you the world
Shining, shimmering, splendid
Tell me, princess, now when did you last let your heart decide?
私は君たちに、世界を見せてあげられる。
光輝く、煌めく、素晴らしい世界を。
プリンセス、最後に自分の気持ちを自分で決めたのは一体いつのことだい?
I can open your eyes
Take you wonder by wonder
Over, sideways and under
On a magic carpet ride
私は、君たちの目を開いてあげられる。
君たちを驚くようなところへ次々と連れていってあげられる。
上にも、横にも、そして下にも。
魔法の絨毯に乗って、ね。
A whole new world
A new fantastic point of view
No one to tell us no or where to go
Or say we’re only dreaming
まったく新しい世界。
素晴らしい景色の見える新しい場所。
誰にも『だめ』とか『ここに行けよ』なんて言われない。
誰にも、夢を見てるだけさ、なんて言われないよ。
A whole new world
A dazzling place I never knew
But now from way up here,
it’s crystal clear
That now I’m in a whole new world
with you
まったく新しい世界
目も眩むようなまぶしい場所。
こんなところ、知らなかった。
でも今、ここから。
それははっきりとしたこと。
私は、
まったく新しい世界にいるんだ。
君たちと一緒に
Unbelievable sights
Indescribable feelings
Soaring, tumbling,
freewheeling
Through an endless diamond sky
信じられないような眺め
言い表せないような感覚
舞い上がり、転がり、自由に飛び回る
果てしないダイヤモンドの空を
A whole new world
(Don’t you dare close your eyes)
A hundred thousand things to see
(Hold your breath, it gets better)
まったく新しい世界
(目を閉じないでいて)
10万個もの見るべきもの
(期待していて、どんどんすごくなる)
I’m like a shooting star
I’ve come so far
I can’t go back
To where I used to be
私は流れ星のよう
こんなに遠くまで来てしまった
もう戻れない
私がかつていた場所には
A whole new world
With new horizons to pursue
I’ll chase them anywhere
There’s time to spare
Let me share this whole new world
with you
まったく新しい世界
新しい地平線
私はどこへでもそれを追いかけていこう
そのための時間は惜しまない
このまったく新しい世界
私にも過ごさせて
君たちと一緒に
A whole new world
(A whole new world)
A new fantastic point of view
No one to tell us no or where to go
Or say we’re only dreaming
まったく新しい世界
素晴らしい景色の見える新しい場所
誰にも『だめ』とか『ここに行けよ』なんて言われない。
誰にも、夢を見てるだけさ、なんて言われないよ。
A whole new world
(Every turn a surprise)
With new horizons to pursue
(Every moment,red letter)
I’ll chase them anywhere
There’s time to spare
Anywhere, there’s time to spare
Let me share this whole new world
with you
(With you)
まったく新しい世界
(何もかもが驚き)
あの、新たな地平線
(全ての瞬間が、記念すべきとき)
私はそれをどこまでも追いかけよう
そのための時間は惜しまない
このまったく新しい、君たちのいる世界を、私にも共有させて
A whole new world
That’s where we’ll be
A thrilling chase
A wondrous place
For you and me
全く新しい世界
私たちがこれから過ごす場所
ワクワクしながら追いかける
驚くような素晴らしい場所
君たちと、私のための
たいきやのはなにとって、私たちはいつまで『魔法使い』でいられるだろう。
夢なんかじゃなく、魔法の絨毯に乗っているかのように、驚きから驚きへ、ダイヤモンドの空を抜けて、果てしなく広がる地平線の彼方から彼方へ。
煌めく空、輝く雲、目を見張るような新しい景色を見ながら、あふれる笑顔で、いつまで一緒に過ごせるだろうか。
いつか、魔法が切れる日が来るのだ。
必ず、その日は来るのだ。
夢と魔法の日々は始まったばかりだけど、私たちはもう大人だから、そのことを知っている。
それまで、精一杯たいきとのはなに夢も魔法も見せてやらなきゃと思う。
いや、そうじゃない。
それだけじゃない。たいきとのはなにとっての夢と魔法の日々は、本当は私たちにとっての夢と魔法の日々なんだ。
彼らが私たちにかけてくれた夢の魔法。
それが切れる日が来ることを私たちは知っているから、こんなに寂しくなるのだ。
限りある4人で暮らす日々を、大切に過ごしたいと思う。
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コメント一覧
これを読んで、子供たちが私にむけて歌ってくれている設定でwhole new world聞いてみたら、泣けてきた。子供たちが来てからの生活は、まるで真新しい世界。今まで「子供向き」と一括りにして、見向きもしなかったコンテンツの素晴らしさ、それらに命をかけて作っている方々のすごみなど何一つ気がつかなかったかもしれない。命かかってなくとも、こうして一つの歌詞に新しい解釈を増やしてくれた、たいきのパパのブログを読むことができてよかった。