たいきの頭からお湯をかける
お風呂で頭からお湯をかけるというやつ。
たいきはずっとひざの上に寝かせて頭を洗ってやってきたので、いまだにできない。
のはなはその反省をいかして、もう、2ヶ月のころからばしゃーんといく。
おかげで鼻に水が入らない姿勢というのも自分で見つけたらしく、もはや頭からたらいでかけようがシャワーをかけようが、咳払いひとつしない。
ここ2、3ヶ月、たいきには毎回
「今日はばしゃーんしようか」
と聞いてみるのだけど
『や!』
の一点張りで、なかなかさせてもらえない。
奥さんとはいる日が増えて、奥さんは1、2回やったようだけど、定着はなかなか。
ところがどうも、昨日はお母さんと入った風呂で、自ら頭にお湯をかけたらしい。
しかも後頭部じゃなく、前頭部。
がっつり顔にお湯がかかるところだ。
これはすごい。
そして今日だ。
今日はたいきは私と風呂に入ってくれるという。
どうなるか。
ちょっとどきどきする。
とりあえず体を洗ってやる。
おもちゃで遊ぶ。
顔を拭くタオルで遊ぶ。
一通りやって、頭の番。
「たいき、頭洗うよ。ばしゃーんする?」
『だめ!』
たいきはあわてて私のひざの上に寝転がろうとする。
あせらなくても無理にやろうとは思わない。
「ごめんね。大丈夫だよ。ごろーんしようね」
ひざの上に寝転んだたいきの頭に石鹸をつけて、いつも通り丁寧に洗ってやってると、たいきが何かいった。
『☆※=△したらばしゃーんする』
シャワーでよく聞こえなかった。
でもばしゃーんするって言ったぞ。
シャワーを止めて聞き直す。
「何?」
『あたまあやったらぁ、ばしゃーんする』
ほほう。
「頭洗ってからばしゃーんするの?」
『ん』
そう言ってたいきは目をつぶった。
そろそろ頭を流す手順なのは分かってるのだ。
顔に石鹸をつけてタオルで拭いて、それからシャワーで頭を流してやる。
「出来たよ。おーしーまい!」
たいきはむくりと起き上がると、小さな子供用のおもちゃのひしゃくを手に取った。
「それでばしゃーんするの?」
『うん』
湯船を見て、止まった。
今日は入浴剤を入れたのであざやかなオレンジ色。
『おれんじだからやだ。』
「じゃあ、シャワーのお湯にする?」
『うん』
お湯の出てるシャワーを差し出すと、ひしゃくにお湯をためた。
そして、頭というよりは限りなくおでこに近いところに、自分でばしゃーん。
あわててたいきが顔をてで拭く。
「すごい!泣かないんだね!」
『たいちゃん、おにちゃんだから』
「そうかあ。もうおにちゃんだもんね。泣かないでばしゃーんできるんだね。」
『うん』
「がんばってくれてありがとう」
そう言ってたいきを抱き締めた。
まだこれで頭を洗うのは厳しそう。
でも一歩前進だ。
明日はどうなるかな。

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