『おとーしゃん、いらない!』
昨日今日と奥さんがたいきと風呂に入ってくれた。
食事のあと、たそがれ泣きなのか予防接種の影響で具合が悪いのか、とにかくのはながぎゃん泣き。
根気よく抱っこしていると寝てしまった。
ちょうど風呂の時間。
せっかく寝たから、もう少しだけ寝かしという二人の共通の気持ちからの対応だ。
二人が上がってきたとき、のはなはまたギャン泣きしていた。
急いでお母さんがおっぱいを口に含ませる。
ほっとしたのもつかの間。
真っ裸のたいきが
『おかあしゃんに』
と言い出した。
お父さんに服を着せられるのは嫌だ、というわけだ。
しかし授乳してる奥さんには難しい。
なんとかしなければ。
『あれ?裸んぼがいるぞ?裸んぼのままだと、かばさんにちんちん食べられちゃうぞ。』
我ながら言うことが下らない。
親指くらいの小さなカバのフィギュアが落ちていたので拾って、たいきの腕に
『がふり』
とやった。
これがまずかった。
奥さんは『あ!ばか!』とは言わなかったけど、そう言いたそうな顔で私の顔を見た。
機嫌のよかったたいきの顔がみるみる歪む。
『おとーしゃん、だめー!』
あとはもう、何を言われたか。
とにかく風邪を引かせたくないので何とかおむつとタンクトップを着せたときには阿鼻叫喚。
『おとーしゃん、いや!』
『おとーしゃん、いらない!』
『おとーしゃんは、あっちにいきなさい!』
『じーじとばーばがいい!』
仕方なくあとは奥さんにやってもらうことにしたのだけど、私の腕を抜けたたいきは、泣き叫びながら今着たばかりのおむつとタンクトップに手をかけた。
いつも風呂の前に服を脱がしてやってる私としては、さあ、たいきは自分で脱げるのかな?という気持ち。
ところがそんな私を尻目に、たいきは泣き叫びながらもあっという間にオムツもタンクトップも脱いでしまった。
びっくり。
なんだよ。
自分でそんなに上手に、なんならあっという間に脱げるんじゃん。
いつもは甘えてただけかぁ。
泣きながら叫ぶ台詞といい、その着替えの手際のよさといい、私はたいきの成長がうれしくて、おかしくて、笑いを全然こらえられず、あきれた奥さんから
『もういいからお風呂入ってきて!』
と言われてしまった。
すごすごと風呂にいくと、もうたいきの機嫌のよい声が聞こえてきた。
気持ちの切り替えが早いのだ。
あとはのはなと風呂にはいって。
奥さんとたいき、私とのはなに別れて。
それぞれの寝室で寝かしつけ。
のはなはまたギャン泣きしていたけれど、ベートーヴェンのソナタ三番(ヴィルヘルム・ケンプ)を聞かせたらピタリと泣き止んで、寝てしまった。
奥さんの寝室からは結構長いこと楽しそうな話し声が聞こえていたけど、それものはなの寝顔を眺めているうちにおさまった。
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