スネ夫のお父さんの気持ち

お父さんであること, 日記

たいきが最近YouTubeの動画でカブトムシに興味を持っている。

アニアというやつ。

恐竜だの動物だののフィギュアなんだけど、その中に昆虫のアニアもあるらしい。

この数日ジャカルタに出張していたのだけど、その直前に

「へらくれしゅおおかぶとが~」

「へらくれしゅおおかぶとは~」

とヘラクレスオオカブトを連呼していた。


ジャカルタ出張も3回目。

1回目はなんだか海外に出るだけでもどきどきしていたのだけど、前回はそこそこ余裕があってお土産屋さんなんかをひやかしたりしていた。

その中の一軒、空港の中の店で立派な昆虫の標本をたくさん売っている店があったのを思い出した。

なにやら大きなカブトムシの標本もあった。

あれを買ってきてやったら喜ぶに違いない。

「たいき、今度の出張のお土産にカブトムシを買ってきてあげようか」

「え?かぶとむし?」

たいきは最初きょとんとしていたけれど、とても喜んだ。


まあ、約束はしたけれど、出張は火曜日に出て金曜日の夜に帰ってくる。

それまで覚えているかどうか。

とは思いつつ、やっぱり買っていってやりたい。

ジャカルタでそんなことを考えていたら奥さんから

「おもちゃにしてね」

というメッセージが来た。

どうも虫が嫌いらしい。

まあ、約束はしたけど標本とは言わなかった。

マンモス展のときのこと(たいきは生きてるマンモスに会えると思っていた)もあるので、本物の動くカブトムシと思っている可能性は低くないけど、まあ、それはいい。

さすがに市内でおもちゃ屋さんに行くような時間はなく、帰りに空港で探すことにした。

あの標本になっている虫たちがインドネシア名物のひとつなら、インドネシアのお土産として、虫のおもちゃだってあるかもしれない。


ジャカルタの空港はなかなか広い。

しかし明け方のフライトのために前の晩から空港で待機している私にはいくらでも時間がある。

空港のお土産屋さんを全部歩いて見た。

恐竜のフィギュアだの、「FROZEN2」のエルサ達のフィギュアだの、バリ島風のあやしいお面だの、おもちゃやおもちゃになりそうなものはたくさんあった。

もちろん前回見つけた昆虫の標本も同じところにちゃんとあった。

ところが、残念なことに昆虫のおもちゃは見つけられなった。

LINEで奥さんに謝って、半ば強引に了承をもらって、昆虫の標本が置いてある店に行く。

立派なカブトムシの標本がいくつも置いてある。

ほかに何やら気持ち悪い大きな虫の標本もあるけれど、カブトムシのは本当に立派だ。

これなら奥さんもそんなに気持ち悪がらないんじゃないか。

chalcosoma caucasus

と、シールにかいてある。

調べると、コーカサスオオカブト。

wikipediaによれば

アジア最大のカブトムシであり、闘争心も旺盛なことから南米のヘラクレスオオカブトと並びしばしば世界最強のカブトムシとも称される。

むう。

ヘラクレスではないのか。


コーカサスオオカブトを眺めながら考える。

しかし、カブトムシを買ってやると約束した。

ヘラクレスではないけど、明らかにすごいカブトムシだ。

黒光りする体に立派な3本の角。

うん。

戸惑うかもしれないけどこれだってきっと喜ぶに違いない。

額装されたカブトムシをそのまま眺めるのか。

はたまた直接触りたいといって取り出すのか。

取り出したとして優しく触れるのか。

先日買ってやったマンモスのフィギュアのようにあっという間に壊してしまうのか。

どう扱ってもいい勉強だ。

戸惑うばかりならちゃんとこれがどんなカブトムシなのか一緒に図鑑でも買ってきて調べてやってもいい。

なに。

変な話、喜ばせるためだけに買うわけじゃないのだ。

おみやげだろうがプレゼントだろうが、当然喜ばないことだってある。

そんなことも想定した上で、それでも買ってやりたいのだ。


さあ、たいきはどんな顔をするかなぁ。

そんなことを考えていたら、ひとりの人物を思い出した。

ドラえもんに出てくるスネ夫のお父さんだ。

私は彼の顔を見たこともない。

ただ、スネ夫が

「お父さんの海外のお土産」

といって新しいおもちゃを見せびらかす話を何度か見たことがある(もちろんジャイアンに壊される)。

スネ夫のお父さん。

いつもこんな気持ちだったのかなぁ。

今までスネ夫のことなんか考えたことなかったし、ましてそのお父さんのことなんか興味持ったこともなかったけど、急に親近感が沸いた。

そうか。

私はのび太やスネ夫のお父さんの年になったのだ。

ついでに言えば、ドラえもんはいない以上、これもお父さんがやらなきゃいけない。

なんか、明け方のジャカルタの空港で、しみじみとお父さんになったんだなぁと思ってしまった。


「ただいま~」

ドアを開けて階段を上り始めると、たいきが出迎えに降りてきた。

階段の半ばで目が合った。

たいきが口を開く。

「かぶとむし…」

お父さん、でも、おかえりなさい、でもなく

「かぶとむし」

だった(笑)

危なかった。

買って帰ってよかった。

もう、3日前の約束も覚えていられる年になったのだ。

3歳児、侮れない。


たいきはコーカサスオオカブトを知っていた。

YouTubeにちゃんと出てくるらしい。

「こーしゃしゃしゅおおかぶと!」

「おお、これはコーシャシャシュオオカブトなの?」

「ちがう!こーしゃしゃしゅおおかぶと!」

「コーシャシャシュオオカブト?」

「ちがう!こーしゃしゃしゅおおかぶと!」

「ああ、コーカサスオオカブトね」

「そうだよ、こーしゃしゃしゅおおかぶと」

見るなり、中に触りたいといいって箱を裏返して開けようとする。

あけることが想定されていないらしく、はさみを使って箱を壊してやる。

たいきは出てきたカブトムシをうれしそうに眺めたり触ったりした。

「うごかないねぇ」

と言われたときは少しどきどきしたけど、マンモスのときのようにがっかりはしていないようだった。

そして、あっという間にキバを折ってしまったマンモスのフィギュアのときと違って、ちゃんと丁寧に触って、丁寧に箱に戻して、とうとう壊さなかった。

これも成長だろうか。

標本を張り付けた板からは外せなかった

どうも、たいきは昆虫学者になるわけではなさそうだ。

一通り喜んでさわって。

あとは箱に戻して。

興味を失ったというほどではないけれど、一緒に寝たいというほど執着もしていないらしい。

次はどこで、何を買ってきてやろうか。

またたいきの喜ぶ顔が見たいのだ。

■たいきのパパをtwitterでフォローする

■ブログをメールでフォロー

メールアドレスを登録すれば、更新の通知をメールで受信できます。

6,564人の購読者に加わりましょう

アーカイブ

カテゴリー