家族が揃った日、『戴冠式』の日

子供に聞かせたい音楽, 日記

たいきが横浜に初めて帰ってきた日。

私が一番初めにかけたレコードがなんだったのか、ちゃんと覚えているわけではない。

でも、おそらく私は初めて息子が帰ってくる歓迎の音楽をベートーヴェンから選んだはずで、ベートーヴェンであるからにはその最も華やかで力強い曲、つまり、ピアノ協奏曲第5番『皇帝』を選んだはずだ。

中国では一人っ子政策で生まれた大切に育てられる一人っ子を『小皇帝』と呼ぶらしい。

まさに我が家の小皇帝たるたいきを迎えるのに最もふさわしい曲だ。

熊本の義母からもらった『The great collection of classical music』の中に、そのレコードはある。


のはなを迎えるレコードをどうしようか。同じ曲では芸がない。といって楽聖ベートーヴェンから2番目の曲を選ぶわけにはいかない。もう一枚、最もふさわしい曲を選ばなければ。

となると、楽聖に並ぶ作曲家は『神童』『天才』の名前をほしいままにするモーツァルトとしかない。

兄が『皇帝』なら、妹は『ジュピター(交響曲41番)』というのも考えた。ジュピターというのはローマ神話の主神で、ギリシャ神話のゼウスのことだ。しかし残念ながら、ジュピターは男神。女の子にふさわしい曲ではない。

数ある名曲のレコードを眺めながら考えていたら、レコードを聴き始めてから知った曲を思い出した。

ピアノ協奏曲第26番『戴冠式』。

実際に神聖ローマ皇帝の戴冠式でも演奏された曲。荘厳さを醸し出しながらも華やかで優美で、端正な曲だ。

うちにはこの曲のレコードが二枚あるけど、そのうちの一枚は『The great collection of classical music』に入っている。

ソリストがモーツァルトのピアノといえばこの人、と称せられた女性ピアニスト、リリー・クラウスなのも最高だ。

これで決まり。


家のドアを開けると、たいきが

『おかえりなさーい!おとーしゃんかえってきたよー』

と大きな声でお母さんに話しかけるのが聞こえた。

リビングに行くと、たいきと、奥さんと、お義母さんが迎えてくれた。

のはなもいる。

熊本からのフライトで疲れているだろうと思って昨夜のうちにホワイトシチューを作っておいたのだけど、たいきはラーメンが食べたいらしく、奥さんがラーメンを作ってやっていた。

久しぶりに大勢で食卓を囲む。

BGMはもちろん『戴冠式」だ。

たいきはラーメンも食べたけど、シチューもたくさん食べてくれた。

ちゃんとたいきの分は具材を小さく切って別に作っておいた甲斐あって、大好きなジャガイモだけじゃなくて人参も玉ねぎもキノコも完食。

してやったりだ。


たいきと風呂にも入った。

寝かしつけもした。

のはなのおむつもかえた。

そのあとは今度はのはなの寝かしつけ。

のはなの寝かしつけはなんの曲にしようか。

たいきの最初の頃の寝かしつけ音楽はベートーヴェンの、いわゆる三大ソナタだった。

今日はとりあえずバッハの『2声のインヴェンションと3声のファンタジア』にしてみた。

オーケストラの類が寝かしつけに向かないのはたいきのときに実証済み。

無伴奏チェロのように単音のものよりも、ごりごりの対位法の曲なら情報量が多すぎてすぐ寝るのではないかという目論見もある。

2回目は色々早いのだ。

ヘルムート・ヴァルヒャのチェンバロを聴きながら、とんとんゆらゆら抱っこ。

のはなはすーともぴーとも言わずに、15分くらいでぐっすり眠りに落ちた。

寝顔が果てしなくいとおしい。


さあ。

新しい毎日が始まった。

いよいよ、家族というやつだ。

しばらくオペレーションが決まらないけど、とにかくこのブログの『想い』に書いてあることを目指せばいいのだ。

つまり、

たいきとのはなにとって心地よく

奥さんにとって楽しく

私にとって無理のない生活

というやつだ。

なあに。

私にとって無理のないなんていったって、大したことはない。

うれしいときはたいきと笑いあえばいい。

しんどいときはのはなを抱けばいい。

毎晩、奥さんとハグし合えばいい。

どれも、全てのストレスを吹き飛ばしてくれる。

新しい毎日が始まった。

喜びの毎日。

王公貴族にも勝るとも劣らない幸せの毎日だ。

戴冠したのは、私なのかも知れない。

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