虐待疑惑で通報された(体験談)

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先日、たいきと風呂にはいろうと支度していると、ドアのインターフォンが鳴った。

21時過ぎのことだ。

何か荷物が届いたかなと思って出るとインターフォンの画面に30才前後の私服の男性と女性が映った。

「警察のものですけど…」

といって何やら手帳のようなものを画面に映そうと提示している。

何か近くで事件でもあったのかなと思って、玄関を開けた。

「手紙をポストに入れておいたのですがご覧になりましたか?」

「すみません。見てません。いま見ます。」

ポストを開けると確かに手紙が入っていて、話がしたいので連絡くださいという内容と、連絡先の電話番号が手書きの綺麗な字でかいてある。

電話番号の下四桁は『0110』。

全部かどうか知らないけど、私が知ってるいくつかの警察署の代表番号はみんなこれだ。

男性が申し訳なさそうに口を開いた。

「実はこちらのお宅でお子さんを虐待しているのではないかという通報がありまして…」


お巡りさんが家に来たのは初めてなのでどうしていいかよくわからないけど、とりあえずお巡りさんを装った人じゃないかだけ確認しなければと思い至る。

何しろ警察手帳みたいなのを見せられても、そんなもの見るのは初めてなので本物かどうかよくわからない。

制服も着てないし、拳銃を持ってる風でもない。

後ろに止まっている車は、パトカーではなく普通の、ただ、セダンよりは大型の乗用車。

とりあえず警察署に電話してお二人が本当に警察から来たのか確認していいですか、と聞くと

「もちろんです。むしろそうしていただきたいです。」

と言われた。

警察署に電話してこの二人が警察官で、確かにうちに来ていることを確認する。

間違いなくお巡りさんらしい。


「誰が通報したのかは私たちも分からないのですが、申し訳ないんですけど通報があったので、ご協力頂きたいのですが…」

表情も言葉遣いも態度も、やたら腰が低い。

令状があるわけではないので任意の捜査というやつなんだろう。

この人たちから見たら、私は虐待してる親かもしれないおっさんで、体はでかいからいきなりぶちギレられたり暴れたりされるのは面倒だ。

暴力沙汰にならなくても、子供の状態を確認できないと仕事にならないし、何より、本当に虐待してるなら子供の命を守るという尊い使命がある。

虐待にどんな事例があるのか私は詳しくないけれど、初訪で確認に失敗すると、虐待がいきなりエスカレートしたりする可能性もあるだろう。

私も緊張しているけど、向こうは多分もっと緊張しているのだ。


私はため息をひとつついて、気持ちと態度を切り替えた。

やましいことなどなにもないし、この二人は間違いなくお巡りさんだということもわかったので、これ以上警戒する必要はない。

そうとなった以上、私たちの生活と安全を守ってくれているこの二人のお巡りさんに、不快な思いも面倒な思いもさせるべきではない。

そして、腕に抱いたたいきが緊張している。

これからたいきの身体検査もあるはずだ。

たいきが安心して体を見せられるような気持ちにならないと、それこそ虐待になりかねない。

声も表情も勤めて明るく、切り出した。

「おつかれさまです。わざわざいらしていただいてありがとうございます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。虐待の心当たりはありませんから、必要なことは何でも協力しますので仰ってください。」

「たいき、このお兄さんとお姉さんはね、たいちゃんが誰かに嫌なことされてないかなって、見に来てくれたんだよ。たいちゃんを守ってくれる人たちなの。わかる?」

たいきは緊張した表情で二人を見つめたままではあったけれど、そしてとても小さくではあったけれど、うなずいた。

二人の表情が、かなり、ほっとした表情に変わった。


たいきの全身をくまなく見てもらって、写真も撮ってもらって、虐待のあとが何もないことを確認。

奥さんの連絡先も知りたいというので、勝手に伝えるわけにもいかないのでその場でスピーカーフォンで電話して

「今、虐待してるんじゃないかって通報があったらしくてお巡りさんが来てるんだけど、話してもらえるかな」

と言うと奥さんは電話口の向こうで大笑い。

「わざわざ申し訳ありません」

とかなんとか言いながら、携帯といまの滞在先(奥さんの実家)の連絡先を伝えてくれた。

一通り形式的な報告書のフォーマットを埋めるための質問が終わったあとでお巡りさんが

「こちらは何の心配もなかったですね。よかったです。すみませんでした。」

と仰ったので、

「謝る必要はないです。たいきを守るために通報してくれた人がいて、たいきを守るためにお二人が来てくれたんです。私もたいきを守りたいと考えてます。一緒に考えて行動してくれる人がいて、こんなにありがたいことはありません。」

とお伝えすると、お巡りさんはとてもうれしそうにうなずいた。

その後警察からは音沙汰なし。

これでこの虐待通報事件の顛末は終わり。


私たちは、交通手段の発達とか色んな背景があって、今、地域のコミュニティがとても弱い社会に生きている。

だから、隣に住んでいる人がどういう人なのかもよく知らないし、そこでどんな育児が行われているのかなんて知りようもない。

そんな中で、知らないよそのうちの子供を守ることや地域を守ることを考えていかなければならない。

相手がどんな人かわからない以上、一般市民である私たちが、隣人の生活に踏み込むのは難しいし危険だ。

だから、こうやって匿名で通報して、警察が確認するというやり方はとてもいいと思う。

というか、それ以外にやりようがない。

通報してくれた人には、今回の捜査?の内容は伝えられないだろう。

しかし、もしも近くに住んでいる人なら、その後も私が毎日たいきと保育園に行っているのを見て「こいつはちゃんとした父親なんだ」と理解することができる。

そうやって地域の人のことを理解し会うことで作られるのが、現代の地域のコミュニティの姿なのだ。

私は私で、少なくともひとり、この地域にたいきのことを考えてわざわざ警察に連絡するなんて面倒なことをしてくれた人がいることがわかった。

今回のことを通して、警察署の少年係の方のことを知ることもできたし、彼らに私のことを知ってもらうこともできた。

とてもよかったと思う。


子供の虐待に関する見るに耐えないような事件が多い。

あの子達を守れるのは、間違いを恐れずに通報する、ひとりひとりの大人の勇気と行動力しかないのだ。

通報には一切躊躇するべきではないし、通報された方も何もないのであればいちいち気にせず、明るく対応すればいい。

通報されてショックだったとか傷ついたなどという人もいるらしいけど、お門違いもいいとこだ。

その人の子供を守ろうと思って、真剣に通報してくれた人がいて、一生懸命調べに来てくれたひとがいるのだ。

私にしてみれば感謝すべきことでしかない。

何度も通報されるなら何か反省した方がいいのかもしれないし、何も反省すべきことが無いなら、今回みたいにお巡りさんがそう伝えてくれるだろう。

こうやって、自分の子育てが逸脱したものでないことも確認できたし、逸脱しないように気を付けようという思いも新たにできた。

このことを通して、地域のコミュニティも少しだけ強まったということにもなる。

そういう時代だから、このやり方でいいのだ。

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