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たいきが賢くて困ってしまう

日記

「たいき、明日お母さんは熊本に行っちゃうんだよ。当分お父さんとふたりきりだね」

「おかーしゃん、ひとりでくまもといっちゃうの、じゅるい!」

「そっかぁ。たいきは熊本行きたいのか。」

「うん」

「熊本には誰がいるのかな?」

「じーじとぉ、ばーば!」

「たいきもあとからお父さんと熊本行こうな。」

「おかーしゃんだけくまもといくの、じゅるい!」

そんなことを話ながらの帰り道。

今日は、昨日約束したのでスーパーに寄ってアイスを買った。


左肩にはたいきの登園バッグと自分の仕事のカバン。

右手にはスーパーのレジ袋。

左手で大器と手を繋いで歩く。

と、たいきが立ち止まって私の顔を見上げた。

やれやれ。

抱っこって言い出すんだろう。

しかし手はふさがっている。

買い物をしたときは抱っこはできない。

いつものことだから、それはわかってるはずだ。


たいきが私の顔を見上げて、口を開いた。

「おとーしゃん、にもちゅ、かばんにいれて。」

はぁ?

はぁ。

ははぁ。

笑いが込み上げてくる。

登園バッグを見た。

確かに中身は少ない。

今日はアイスの他にも食パンやら冷凍食品やらを買ったけど、なるほど、レジ袋ごと入れてみたら見事に入った。

「…入ったよ。で、どうするのかな?」

「だっこ!」

たいきの一本勝ち。

謹んで拝命。

ごり押しをするんじゃなくて、ちゃんと解決策を提示してWin-Winな関係を構築しに来よる。

たいしたものだ。


お風呂にはいって、二人でベッドに行ったのだけど、今日はとにかく寝ない日。

こんなに寝ないことはもう記憶にない。

「たいき、もう寝るよ」

明かりを消しても寝たふりをしても歌を歌ってもダメ。

おもちゃをいじるのもやめさせたけどだめ。

困り果てていると、たいきが泣き出した。

眠くてぐずりはじめたかなと思うと、なにか叫んでいる。

どうも違うらしい。

「おとーしゃん、おきて!おりて!」

と言って私をベッドから押し出そうとする。

「もう寝るからさぁ。お父さんは起きないし下りないよ。」

と言うとさらに大きな声で泣き出した。

「たいちゃん、おかーしゃんとねるの!おとーしゃん、おきて!おかーしゃん、みにいく!」


こんなことはほとんどなかった。

明日からしばらくお母さんと会えないということが、ちゃんと理解できているのかもしれない。

たいしたものだ。

そうなると、たいきにとっては特別な日だ。

抱っこしてお母さんを迎えにいくと、ちょうど寝支度をととのえたところだった。

そのままふたりで寝室へ上がっていく。

まあ、あとはしばらくイチャイチャするのか、すぐ寝ちゃうのか。

どちらでも結構なことだ。


明日からしばらくはたいきと二人きり。

何かあったら大変だ。

何があろうがお迎えにいくのは私しかいないのだ。

バックアップがないというのは想像以上に不安だなと思う。

何もなければ、たいきとはうまくやれるだろう。

何しろ朝の支度も送り迎えも風呂も寝かしつけも毎日のようにやってはいるのだ。

それでもやっぱりさみしくて色んなことがうまくいかないかもしれない。

それはそれでしかたない。

覚悟はしておく。

夜、お母さん、と泣くようならたくさんたくさん、寝るまで抱っこしてやろう。


生まれてくる子供の名前も大体決まった。

あとは無事を祈るだけ。

臨月、出産。

こればっかりは男は陸にあがったカッパ。

何もできはしない。

奥さん、お腹の子供のこと、よろしく頼みます。

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