たいきは振り返りもせずに走って行った
今回のディズニーはとにかくてんこ盛りだった。
命がけの出産を間近に控えた奥さんとしては、思い残すことがないようにやりたいことを全部やっておこうということらしい。
サンルートホテル、シェラトンホテルに泊まり、最後はディズニーランドホテルの美女と野獣の部屋に泊まった。
何しろ一番好きな映画はと聞かれれば迷わず『美女と野獣』と答える私たちで、たいきにももう数十回美女と野獣を見せているから、この壁紙を見ただけで大興奮。
このオットマンを見たら鼻血が出そうな勢い。
こちらの壁紙の本棚に描かれている本の背表紙を見れば『アラジン』『白雪姫と七人の小人』『ポカホンタス』『ムーラン』、そして『美女と野獣』。
お風呂の扉はこれ。
もう、幸せすぎて卒倒しそうだった。
あらかじめ予約してあったのが
・ディズニーランドホテルのアフタヌーンティー
・ポリネシアンテラスレストランのショー『リロのルアウ&ファン』(ミッキー達のグリーティング付き)
・クリスタルパレスレストランの夕御飯
・ザダイヤモンドホースシューのディナーショー『ザダイヤモンドホースシュープレゼンツ“ミッキーアンドカンパニー”』
・シアターオーリンズの『レッツパーティグラ』
・ショーベースのワンマンズドリーム2『ザマジックリブズオン』
・ブロードウェイミュージックシアターの『ビッグバンドビート』
・クリスタルパレスレストランの『キャラクターズブレックファスト』(プーさん達のグリーティング付き)
・ホライズンベイレストランの『ディズニーキャラクターダイニング』(ミッキー達のグリーティング付き)
…何か忘れてる気がするけどとにかくたくさん。
あ。
これの他に通常のホテルの夕飯ももちろん予約。
とにかく、これだけ生でたくさんのキャラクターショーを見てグリーティングも予約して、さらに『ミートミッキー』と『キャンプウッドチャック(ドナルドに会えるやつ)』まで行った。
全部気合いと根性で予約した奥さんには脱帽しかない。
私だったら、二つくらいの予約で満足しちゃうし心がおれる。
この予定をこなしつつ、たいきはたいきで
『しゅもーわーるどいきたい!』
『じゃんぐるくるーずいきたい!』
なかなかだ。
もちろんどっちも行った。
一回や二回ではない。
何回も。
私が
「カントリーベアーシアターに行きたいなぁ」
と言ったらたいきが
「しゅもーわーるどいったら、もりのくましゃんいってもいいよ」
と許可してくれた。
次のショーの予約時間とにらめっこしながら、よくもまあたいきの見たいアトラクションも行き、カントリーベアシアターまで行ったものだ。
たいきはディズニーランドにずいぶん慣れた。
どっちに何があるのが大体分かるらしい。
抱っこをしていれば
『あっち!』
『こっち!』
と指差すし、たまに歩いてくれたと思うと、とにかくあらぬ方向に走り出す。
写真を撮ってるときですらこの有り様。
去年の5月に、弟の結婚式に家族で出た。
たいきは大きなテーブルに興奮して走り出して、私は追いかけた。
でも追いかけるのは当時はそんなに難しくなかった。
何しろ当時はまだ、たいきは親が見えなくなるところには行けなかったからだ。
それからずいぶん色んなところに行ったけど、どこでもいつもたいきはこちらを時々振り返りながら走っていった。
今回は違った。
シンデレラ城の前のプラザでも、トゥーンタウンでも、とにかくよく走る。
振り返らずに走る。
見失いかけて焦ることもしばしばだった。
最後の最後、ディズニーランドホテルのロビーの端にあるトイレで、用を済ませて手を洗っていると、たいきがトイレのそとに走り出した。
待って、と声をかけるけどあっという間に見えなくなる。
え。
待って。
めちゃくちゃ焦る。
あわてて手を拭いてトイレを出たけど、そこにたいきはいない。
変な通路に入ってないかパッと見ていないことを確認して、ロビーを見回すと、かろうじて走り去る頭が椅子の影に見えた。
一応、お母さんが待っている方に走っているから少しほっとした。
しかし、とは言えお母さんが待っているのはロビーの反対側。
距離にすれば、えーと、まあ随分ある。
間にはソファやらない机やらがあって、お母さんはたいきの背ではみえない。
しかしそんなことはお構い無し。
他の宿泊客やソファをぐるぐる避けながら、たいきはとうとう一度も振り返らずにお母さんのところまで走りついた。
ずいぶんお兄さんになったなと思う。
振り返らずに走る勇気。
それはひょっとしたらいつも見てくれているという安心感かもしれない。
そして私が小走りしたくらいじゃ追い付けないスピード。
それから、こんなに遠くまでちゃんと場所を覚えてたどり着く空間認知能力。
こうやって小さい子はそれを過信して迷子になるのかぁ。
そう思うと微笑ましいばかりではないけど。
まだまだ当分後ろを追いかけてやらなきゃならない。
そのうち手の届かないところまで走っていってしまうのだろう。
その日まで、しっかりその背中を見つめ、追いかけよう。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません