ケバブを買ったけど抱っこは断れなかった

日記

たいきが保育園を出るなり、

「ちきんがたべたい」

と言った。

帰り道にあるケバブ屋さんに行きたいらしい。

まあ、アイスよりはましか。

私は甘いものを食べさせることにあんまり抵抗はないのだけど、奥さんはあんまりいい顔をしない。

そもそも私は甘いものはほとんど食べないし、なんなら間食もしないので、甘いものをたいきが食べるようになったのは絶対奥さんのせいだと私は思ってるけど、それはそれ。

明らかに私の方がたいきに甘く、買い与える頻度も高いから、奥さんには別の言い分があるだろう。

とにかく、チキンだ。

「チキン買ったらたいきは自分で歩けるかな?」

「うん!」

まあ、こんなのおまじないみたいなもので、効くかどうかはわからないけど歩いてくれればラッキーだ。

『約束したじゃん』なんて言うと意外と素直に約束を守ってくれたりもする。

それに期待してみよう。


ケバブ屋さんに行ってメニューを見ると

・ケバブ

・ケバブ定食

・ケバブ丼

・肉

といったメニューが並んでいる。

今日は奥さんがごはん作ってくれているから『肉』にした。

しかし、トルコ人だかイラン人だか知らないが大したものだと思う。

日本人は多分海外で日本食レストランをやるとしても、「肉じゃがスパゲッティ」とか「刺身サンドウィッチ」みたいな料理は出さないだろう。

わざわざ極東の島国まで世界三大料理のひとつであるトルコ料理を持ってきて、「ケバブ丼」「ケバブ定食」だ。


三大料理というのはフランス料理、中華料理、トルコ料理のことなのだけど、フランス料理、中華料理に比べると若干「え?トルコ?」的な感じは否めない。

しかし、文化というのはただ広めるだけではダメで、異文化の土地に行って現地化してはじめて広まるのだと誰かが言っていた。

日本で言えばスパゲティナポリタン(横浜の食べ物で、ナポリは関係ない)とか、カレーライスとか、明らかに元の国の食べ方とは違うけど、確かにスパゲティもカレーも日本に馴染んでいる。

ケバブもこうやって現地化が進んでいくのだろうか。

かつて世界の中心だったペルシャの誇りなのか、ヨーロッパとアジアの交差点であるトルコの包容力なのか。

つまりまあ、私もたいきもこの店のケバブ丼が大好きだ。


肉をテイクアウトして店を出てしばらく歩くと、たいきが私の足にしがみついてきた。

ほら、おいでなすった、と思う。

「どうしたの?」

だっこ、と言うだろう。

そしたら『チキン買ったら歩くって約束したよね』と言おう。

と思っているのだけど、たいきはなにも言わないで抱きついている。

「どうした?」

ともう一度聞くと、たいきがようやく顔をあげてこっちを見て、口を開いた。

「たいちゃん、あるけなくなっちゃった」


あっけにとられるというか、はとが豆鉄砲を喰らうというのか。

なんというか。

そうかぁ。

あるけなくなっちゃったのかぁ。

もう、笑いが込み上げてきて反論する気は完全になくなった。

私の負け。

だって、歩けなくなっちゃったんだから。

そりゃしょうがない。

「よしよし。わかったよ。抱っこしよう。お父さんはたいちゃんを抱っこするのが大好きだから。抱っこさせて頂きますよ。」

たいきはほっとしたように笑った。

たいきなりになんと言って抱っこしてもらうか知恵を絞ったりしているのだろうか。

しばらくはこれで抱っこは断れない。

まあいい。

抱っこが好きなのも事実なのだ。

「たいき、抱っこさせてくれてありがとう。」

というとたいきは私の頭をなでながら

「いいよ」

と言った。

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