「おかあしゃんとこいく」
たいきが目を覚ました。
今、25時半。
寝ぼけ眼をこすりながら
「おかあしゃんとこいく」
と言う。
私はイビキと歯軋りがひどいらしく、私と寝ているとたいきが時々「こわい」とかなんとか言って夜中に泣き出すことがある。
まあ、こわい夢でも見ているのかもしれないけど、私のイビキ歯軋りのせいの可能性も低くない。
だから、今はたいきと同じ布団に寝て入るのだけど、たいきには普通に寝てもらって、私はたいきの足元に丸まって寝ている。
昔習った「貧窮問答歌」みたいだななんて思ったりもする。
昨夜は私が気づくと、その私にたいきがベッタリくっついて寝ていた。
珍しいこともあるものだ。
そして、今日だ。
ぐずりはじめるまえに話しかける。
「おかあさんのとこいくの?」
「おかあしゃんとこいく!」
少し声が大きくなった。
「いいよ。一緒にいく?」
お父さんにはついてきてほしくない、一人でいきたい、ということもあるのだ。
「だっこして」
と、手を広げてきた。
だきあげてやる。
「お母さん。寝てるからね。しー!でいくよ」
「うん。しー。」
よし。
お母さんの寝室に行くと、お母さんはもちろん眠っている。
たいきに小声で話しかける。
「ほら、お母さんは眠ってるでしょ。」
「くっちゅいてねる。」
「そっか。じゃあ、一緒に寝てくれるか聞いてあげようか」
奥さんが声に気づいて布団のとなりをたたいた。
ここにおいでってことだ。
「ほら!良かったね。お母さん、一緒に寝てくれるってよ。」
たいきがベッドに降りた。
「お母さん、お腹いたいからお腹には乗らないようにね」
聞こえたのか聞こえないのか、とにかくたいきは一目散にお母さんのとなりにいって、布団に潜り込んだ。
だんだん大きくなって、隣に寝られなくなったと思っていたのだけど、ここ数日はこうやってどっちかにくっついて寝ることが増えた。
そうやって独立心や冒険心で親から離れたり、またくっついて安心したりを繰り返しながら大きくなっていくのだろうか。
とりあえず、隣で寝てる奥さんのためにも、たいきがこわい夢を見ずに眠れますように。
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