Twitterの力、善意の力
Twitterでいきなりこんなツイートが送られて来た。
@taiki_no_papa はじめまして。相談なのですが、私は家事育児を95%しつつ、フルタイムで働いているのですが、夫からは晩御飯作ってるだけだし、家事やらないくらいで何故そんな怒るの?と真顔で言われます。どう伝えても伝わりません。どう伝えたらいいと思われますか?
— ななころ (@nanakoro33) December 17, 2018
アカウントを見に行ったけど、申し訳ないけど見覚えがない。
フォロワー80人ぐらいのママさんアカウントだ。
私をフォローしてくださっているけれど、いつからフォローしてくださっているのかはわからない。
ツイートにも「はじめまして」って書いてあるから、多分、はじめましてなんだろう。
たいきと同い年の子供がいるらしい。
私に聞かれても、正直、困る。
もちろん誰かに頼られて悪い気がするわけはない。
一生懸命応えたいとも思う。
ましてパパママとしては同級生だ。
他人事とは思えない。
ただ、これ、実は以前にも同じことを聞かれてことがある。
そのときは質問箱からの質問で、その女性のことも夫のこともなにもわからない状態で、答えようがなかった。
そもそも難問なのだ。
しかも、聞いている質問者が超真剣なのもわかるのだ。
なんとか正解がないか見つけたいけど、外すわけにもいかないし、そもそも当たる確率は低いし。。。
今回は、ちゃんとたくさんの愚痴のような、辛さを訴えるツイートがあって、いろんな情報はあった。
誰かもわからない私なんかに聞いてきたのは、よほど困っているんだろう。
ちゃんとした答えがあるなんて思っていないかもしれないけど、それでも何かは期待したんだと思う。
しかし、ツイートを読めば読むほど辛い。
もう何度も話もしているし、夫はその都度無理解なことを言って奥さんはただただ傷ついているようだった。
そんなにフォロワーさんがいるわけでもなく、旦那さんと生活についての悲痛な愚痴は、今のところ時々ひとつふたついいねされる程度。
寝かしつけも終わってから、1時間くらいかけて一通りツイートを読んで考えてみたけど、この旦那さんに伝える方法はやっぱり思い付かなかった。
申し訳ないけど、家事育児、やったことない人にはなかなかわからない。
本人にやる気がなければ、伝える方法はない。
悲しい気持ちでお詫びをツイートした。
申し訳ありません。今までもいろんな人に同じことを聞かれますが、これと言う答えが思い浮かびません。実際に自分で経験するか、捨てられるまで、気づけないのかもしれません。。私はTwitterでママさんを300人フォローすることで気づけましたが…
— パパ初心者 Aug,2016(たいきのパパ) (@taiki_no_papa) December 17, 2018
こんなことしか言えないのが本当に悔しい。
そして、申し訳ない。
そうだ、彼女のツイートをリツイートすれば私のフォロワーさんが、誰か、励ましてくれるかもしれない。
私なんかよりずっと、同じ境遇にいて同じことについて上手にアドバイスしたり励ましたりできる人がいるはずだ。
いいねがつくだけでも気持ちはずいぶん楽になるかもしれないし。
そんな気持ちで、一番、辛い気持ちが伝わって来たツイートをひとつリツイートした。
そのときついていたいいねはひとつ。
リツイートはされていなかった。
夫が、お前は晩御飯作ってるだけだろって。泣いた。朝ごはんもいらないし、昼ごはんも作ってないだろと。フルタイムで働いてるし、子供のお弁当も毎日作ってる。掃除洗濯ゴミ出し買い物全部一人でやってる。涙が出てくる。なんでこんなに私の悲しい気持ちが伝わらないんだろう。
— ななころ (@nanakoro33) December 17, 2018
リツイートから24時間で2000リツイート、8000いいね、励ましのツイートは多分200以上、フォロワーも30倍くらいになっている。(*後付記:半月後の段階で9000リツイート、30000いいね、5000フォロワー)
私は、まさかこんなことになるとは思わなかった。
励ましのリプライ、私はとても全部は読めないけれど、どうもいろんな人が彼女のツイートを遡って見て、旦那さんについてのアドバイスをしたらしい。
大体、ツイートなどというものは生活のほんの一部なので、それだけを見てどうすべきとかどうだとかいうことはなかなか言えない。
ぴったりなアドバイスをすることなんて不可能だ。
ただ、その数多くのアドバイスやコメントの中に本人なりに納得するものがあったんだろう。
それをベースに早速専門家に相談もしたらしい。
昨日まで呻吟するばかりだったらしい彼女は、ツイートを見る限り明らかに元気になった。
客観的に自分達がどういう状態なのかや、いざとなったらどういう選択肢があるかということについても、得るものがあったらしい。
自信もついたようだ。
あとは、それを踏まえて気持ちも新たに改めて旦那さんと話をするのかもしれないし、その様子を見た旦那さんが気持ちを改めれば言うことはないかもしれない。
あるいはそうじゃない未来の選択肢もいくつもあるだろう。
どんな選択をするのかは、二人次第だ。
ただ、辛い辛いと言うだけの状態からは抜け出せるのかもしれないし、抜け出せたのかもしれない。
手の届かないところにいる彼等が、どんな話をしてどんな結論を出すのかは私にはもうわからない。
今までにも、実は似たようなことは何度かあった。
今回はちょっと想像以上だったので驚いたけど。
たったひとつのツイート、たったひとつのリツイートが、たくさんの人の善意につながることがある。
ひとりのいいねはひとつのいいねだけど、ひとつひとつのいいねが全部尊く、ひとりひとりのいいねに力がある。
8000いいね、じゃない。
8000人、ひとりひとりが応援しているのだ。
泣かないで、がんばって、幸せになって、ひとりじゃないよ、と。
Twitterを、悪意をむき出しにして使う人もいる。
消耗し続ける人もいる。
でも、「いいね」するだけのほんの少しの善意が、誰かを力付けることもできる。
これから先この夫婦がどうなるのかはわからないけれど、少なくとも変化することは変化しないことよりもいいことだと思う。
人から人への善意は、ときに人の人生を変える力にもなるのだ。
私も、Twitterを通して受け取ったたくさんの人の善意によって生き方が大きく変わった人間の一人だし。
袖すり合うも多生の縁。
多幸を祈る。
*ツイートの張り付けについてはご本人の許可を頂いています
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