たいきはしゃけご飯を自分で作れるようになった
今朝はしゃけご飯を食べたいとたいきが言ったらしい。
たいきが起きても私が寝ぼけ眼のままだったので、奥さんがご飯をよそって、シャケフレークのふたを開けてビンをたいきに渡してくれた。
たいきはいつもお父さんとお母さんがやってるのを見ているから、どうするのかはわかっている。
シャケフレークのビンにスプーンを突っ込んでご飯にかけようとした。
しかしまあ、初めてのことでうまくいくわけはない。
スプーンに力が入りすぎて、勢いあまってシャケをひとさじ分を床に盛大にぶちまけた。
たいきが「あ」という顔をする。
いや「あ」といったかもしれない。
「いいんだよ。お父さんが片付けるからね。」
たいきはうなずいて、先割れスプーンのフォーク部分に刺さったシャケを見つめ、そのまま口に入れた。
とりあえず床に落ちたシャケを拾いながら、たいきの様子を見る。
あきらめて「おとうしゃん、やって」といいだすかと思ったら、そうではない。
またスプーンをビンに突っ込んで、もう一度シャケをぶちまけた。
はぁ。
「お父さんがやってあげようか?」
という言葉がのど元まで出るけど、いったん飲み込んだ。
口つけたスプーンをあんまり保存食に入れてほしくはない、なんてつまらないこともちょっと考えて、どうでもいいやと考え直す。
だめになるなら捨てればいい。
たいきが自分でシャケご飯を作ろうとしていることとくらべたら、本当にどうでもいいことだ。
たいきはスプーンに残ったシャケを見つめている。
これは結構塩味がきついから、あんまりそのまま食べてほしくはない。
「たいき、それはご飯にのせて食べてね」
たいきはうなずくと、シャケを不器用な手つきでご飯にのせた。
そして、スプーンに刺さった残ったシャケをまた口に入れる。
「たいき、シャケはご飯と食べるんだよ」
ちゃんと理解したようで、たいきはご飯を見た。
しかしご飯を見て明らかにシャケの量が足りないと思ったらしい。
三度、スプーンをビンに突っ込む。
またぶちまけるかなぁ。
やっぱりそろそろ選手交代したいなぁ。
しかし、たいきはちゃんと学習したようだ。
今度はシャケをぶちまけはしなかった。
あまりたくさんはすくえなかったけど、ちゃんとスプーンにシャケを載せて、ちゃんとこぼさずご飯にのせられた。
「おお、すごいね」
たいきはこちらを振り返りもせずに、もう一度スプーンをビンに突っ込んだ。
とにかくシャケご飯を食べたいのだ。
食欲は偉大だ。
ビンとご飯の間をスプーンが何往復かすると立派なシャケご飯になった。
そして、たいきはそのままこちらを見ることもなく、シャケご飯を食べ始めた。
「おいしい?」
「うん!」
自分で作ったシャケご飯の味は格別だっただろう。
たいきはその後おかわりまでして、とても満足気だった。

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