たいきとの約束は守る

お父さんであること

お迎えにいくと、たいきの他に4才のゆきなちゃんと1才しのぶちゃん姉妹がまだ保育園に残っていた。

この二人は今年度からよくこの時間まで残るようになったお友達で、よく会う。

この時間は子供たちの相手をする先生はひとり。

先生も姉妹の親御さんも、どうしても妹のしのぶちゃんに優先的に声がけしがちになる。

私の思い過ごしかもしれないけど、ゆきなちゃんが寂しそうな、我慢してるような表情を見せることがあるのがどうにも不憫に思えて、私はゆきなちゃんに真っ先に挨拶するようにしている。

最初は人見知りもしていたし、妹を守らなきゃという責任感もあってか、なかなかこちらを向いてもくれなかったけど、最近は笑顔も見せてくれるようになった。


今日はちょうど私のすぐ後に二人のお父さんも迎えに来て、ほぼ同時に玄関で帰り支度になった。

しのぶちゃんのベビーカーの支度がある分、たいきと私の方が先に出ることになったのだけど、たいきは

「しのたんは?」

と言って門から出ようとはしない。

どうも、しのぶちゃんと一緒に門を出たいらしい。

するとゆきなちゃんが先に二人分の荷物をもって保育園の建物から出てきた。

「へえ!ゆきなちゃんはしのちゃんの荷物も持ってあげられるんだね。すごいねえ!」

というと、ゆきなちゃんはえへへと笑ってうなずいた。

「偉いね」でもいいのかもしれないけど、お手伝いするのが偉いのかどうか、価値観は親御さんがどう教えたいとお考えかわからないので「偉いね」はさけて、あえて「すごいね」を選ぶ。

これならお手伝いしなきゃ!という心理的強制を押し付けることもなく、ゆきなちゃんをほめることができる。

うれしそうに笑顔を見せてくれたゆきなちゃんを見て、こちらも嬉しくなる。


門を出たところで二人とはバイバイ。

たいきは名残惜しそうにしていたけれど、ちゃんと

「あした、またあしょぼーね」

と言って大きな声でバイバイできた。

たいきを抱き上げると

「しゅーぱーいく」

と言う。

昨日もスーパーは行ったし、明日も週末の買い出しのために行く予定。

だから今日は行かないよと言うと

「しゅーぱーいく!いっとくした!」

とたいきがいいだした。

「…いっとく?」

「ちがう!いっこく、した!」

「…いっこくした?」

「ちがう!ゆっこく、した!」

「ゆっとく?」

たいきがイラついた顔で考え込む。

「うーん。。。ゆっとく、した!」

えーと。。。

「あ!約束した?」

「うん!ゆっとく、した!」


えーと。

急いで考える。

朝、ばたばたしてるときにたいきがスーパーに行きたがると「夜行こう!約束ね!」と言うことがある。

そういう時は必ず約束を守ってきた。

今朝はバタバタしてたけど、たいきはスーパーに行きたがりはしていないので約束はしてない。

昨日の夜はスーパーに行ったから、「明日行こうね」という約束をするわけもない。

「たいき、約束してないよ。」

「…」

「よし。明日は必ずスーパーに行こう。お父さん、約束するよ。かならずいく。」

「うん!やくとく!」

約束という言葉の意味を、今日はじめて理解したのかもしれない。

とにかくたいきは納得してくれた。

「あした、しゅーぱー、いこう!」


2才児でも、約束は覚えている。

ごまかしちゃいけない。

たいきとの約束は守る。

守れない約束はしたくない。

嘘も方便ということはあるけど、大人相手には約束しといて反故にするなんてことはしない。

だから、たいきにも適当な約束はしない。

これは、ちゃんと守っていきたい私のルールのひとつ。

*お友達の名前はプライバシーに配慮して変えてあります