保育園の先生のしかり方
たまたま、男性の先生がたいきをしかっているところに出くわした。
たいきが、1才のお友だちが読んでいた絵本を横から取り上げてしまった。
なかなか気丈な子で、泣きはしないもののもちろん悲しそうにしている。
一生懸命とられまいとしていたけど力の差は歴然。
手を伸ばして取り返そうとしても届かない。
すると目の前に座っていた先生が、たいきから絵本を取り上げた。
乱暴ではないけれど、意思の強い決然とした取り上げ方だった。
「たいちゃん、お友だち(本当は◯◯ちゃん、と名前を読んだ。以下、同。)が読んでる本をとっちゃダメでしょう?お友だちのをとるなら、先生もたいちゃんのをとるよ。」
たいきは目をそらして他のおもちゃを見ている。
「たいちゃん、先生のお話を聴いて。先生のお話を聞かないやつ…エヘン、聞かない子は先生いやだな。」
私が近くにいたから、やつ、を言い直したのかもしれない。
私は気にしないけど。
邪魔にならないように、私も先生と同じテンションの顔でたいきを見つめる。
たいきはおもちゃに手を伸ばしてつかんだ。
先生がそのおもちゃも優しく取り上げた。
「先生のお話を聞いてくれない子のお話は、先生も聞かないよ。」
たいきは相変わらず床を見ている。
どうなるのかな。
「たいちゃん、お友だちの読んでる本をとったらダメでしょう。わかるよね。」
たいきが床を見たまま、小さく小さくだけど、うなずいた。
「お友だちに、ごめんねできる?」
たいきはもう一度小さくうなずいた。
「じゃあ、ごめんねしよう」
たいきがお友だちの頭に手を伸ばして、頭を撫でながら
「ごめんね」
と言った。
「たいちゃん!よくできたね!」
といって先生がたいきの頭を撫でる。
「じゃあ、ちゃんと絵本もお友だちにどうぞって返してあげて」
といって絵本をたいきに渡した。
たいきはそれを受けとると、ちゃんとそのままお友だちに「どうじょ」と言って渡した。
そしてもう一度「ごめんね」と言った。
先生が「良くできたね」ともう一度たいきを誉めた。
これで終わりかなと思ったので、私もまずはそのお友だちに「◯◯ちゃん、ごめんね」と言って頭を下げた。
最近いつもこの時間に一緒にいる子だ。
私が「たいちゃんのおとうさん」であることはちゃんと知っているし、抱っこをせがまれて抱っこしてあげたこともある。
まだ言葉はでないけど、表情は明るくなった。
「◯◯ちゃん、たいきがごめんね。◯◯ちゃんは泣かないんだなぁ。すごいね」
と言って頭を撫でてやると嬉しそうに笑った。
それからたいきに向き直って
「たいきもちゃんとどうぞってできて偉かったね」
と言ってアタマをなでると、たいきも安心したように笑顔になった。
こんな風にはなせばわかるものなのか。
いや、普段からのコミュニケーションの質の問題もあると思う。
私がいきなり同じことをしても同じにはならないかもしれない。
でも、こういう姿を目指して、落ち着いてきちんと話せば、ちゃんとわかるのだとわかった。
見ることができてよかった。
よく反芻して、同じようにできるように覚えておきたいと思う。
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