なぜ父親が子供の夜泣きで頑張るのか~昨日、奥さんがたいきと風呂に入ったこと
事実を散文的に書けば、昨日、たいきが「おかあしゃんとおふろ」と言って、奥さんが「いいよ」と言って、二人がおふろに入った、と。
それだけのことかもしれない。
(2018年11月22日)
2016年の8月にたいきが熊本の病院で産まれて、翌日には私は横浜に戻ってきたから、そこから2ヶ月間、どんな夜を奥さんとたいきが過ごしてきたのかは知らない。
知ってるのは、奥さんは奥さんの実家にいて、義両親の友達がお祝いに来てくださったのだけど、とにかく寝たいのに挨拶なんかしてられるかと言ってブチキレたとか、そんなことは言っていた。
とにかく、2か月後に二人は横浜に帰ってきて、それから私は毎晩寝かしつけの抱っこをしていた。
でも、翌年の4月に保育園が始まる、というところまでは完母で育てていたから、毎晩毎晩、奥さんは何度も起きて授乳をしていた。
そのあとはミルクも使い始めたから、夜の前半はミルクをやって、後半は授乳、なんてシフトを組んでやって来た。
いつだったか、なんでだったかはっきり覚えていないけど、いつしかたいきに夜ミルクをやらなくなった。
奥さんもフルタイムで仕事をしているけれど、夜中にたいきが起きても私を起こすより寝ながら授乳した方が楽だと言って、私を起こしに来なくなったのだ。
ところがたいきの体重もいつしか13キロを越えて、夜中に授乳をするといっても、おっぱいを飲むというよりはお母さんに乗っかっておっぱいを咥えて寝るという有り様で、奥さんは眠れなくなってしまったらしい。
とうとう、もう無理だから夜たいきと寝て欲しいと奥さんに言われて、もちろん一も二もなく快諾したのは先週のこと。
最初の一日、二日は、たいきも夜中に目覚めると泣き出した。
おっぱいが欲しいのだ。
1時前の一度目の夜泣きはなんとかごまかしたり、夜の散歩に連れ出したりして寝かしつけをしても、3時ごろの2回目の夜泣きでは一目散にお母さんのベッドに走っていくのを止めようもなかった。
しかし、たいきも数日でなれたらしい。
ここ数日は、夜中に目覚めてもすぐに布団に突っ伏して寝てしまうし、そもそも覚醒する回数も減った。
明け方の5時とか6時を過ぎて目を覚ますと、相変わらずまだ奥さんのところにいって授乳してもらっているようだけど。
いま、奥さんは広々としたベッドに、ひとりで横たわり、手足を広げて、朝まで眠っている。
二年以上、狭いベッドでたいきと二人で寝ていたのだ。
夜中に最低2回、多いときは一晩中授乳をしながら。

平日の朝は奥さんの方が早く出るので私がたいきのご飯やら身支度やらをやって、保育園に連れていく。
お迎えも大体私が行って、家に帰ると奥さんも大体いて、私が風呂にいれて、寝かしつけは時期によって私がやっていたり奥さんがやっていたりだったけど。
どうしてもたいきが起きてる時間には私の方がたいきと触れあう時間が長い気がして、風呂は一緒に入ってやってくれないかなぁと思ったりもした。
金曜日とか、土日とかは時々一緒に入ってやってくれていたけど、まあ、大体は私がいれていた。
とにかく奥さんは夜大変なのだ。
寝不足というのは人の心を壊すし、体にも大きな負担がかかる。
睡眠というのは全ての基本なのだけど、それが満足にとれないことがずっと続いていたわけだ。
それはわかっていたから、奥さんのためにも、たいきのためにも、昼のことは極力私がやろうと思ってやってきた。
昨日は火曜日だった。
最近のたいきは素直にお父さんとお風呂にはいることが多かったのだけど、昨日は珍しく「おかあしゃんとおふろ」と言った。
いつもなら奥さんの様子をちらっと見て、たいきと入る気がないのを確認して、「お父さんと入ろう」と言って、二人でなんとか説得して私が入れる、というのがお決まりのパターン。
ところが昨日は違った。
奥さんが間髪を入れずに
「よし、お母さんと入ろう!」
と言ったのだ。
たいきは喜んでお風呂に持っていくおもちゃを抱え、二人は意気揚々とバスルームに消えていった。
このことを昼間、仕事をしながらぼーっと考えていて、いきなり気がついた。
そうか!
奥さんはいま、元気なんだ!
二年数ヵ月ぶりに、手足を伸ばして、何時間もまとめて寝られている。
それが何日か続いたから、奥さんは二年数ヵ月ぶりに、元気なんだ!
そういえば、表情も心なしかいつもより溌剌としているし、昨日は話す声も大きかった。
あの日、24時過ぎに陣痛が始まって、そのまま翌朝まで眠れずに過ごして、たいきが21時過ぎに産まれた。
一晩だけたいきと離れて寝て、その翌日からずっと、つまり800日近く、まともな睡眠を取らないで来た。
私だって多少なりとも一緒にやって来たから大変さはわかるつもりだけど、それでもやっぱり、問答無用でおっぱいを求められてしまう奥さんの大変さというものは、私には全然わかっていないと思う。
800日は、一日一日が睡眠不足と睡眠欲との戦いだったと思う。
『2年数ヵ月』
って言ってしまえば一言だし、過ぎてしまえばあっという間だった。
もう数週間もしたら、日々の仕事と育児に忙殺されて、そんな時期もあったねなんて言葉で片付けてしまうのかもしれない。
もちろんこれからも育児はずっと続いていくし、その中で大変なことだってたくさんあるはずだ。
でも、だ。
800日もまともに眠れないなんてことは、もうないだろう。
奥さんがたいきと風呂に入ろうと言ったときの屈託のない様子を思い出しながら、この気持ちを、忘れちゃう前にちゃんと伝えたいと思った。
ちょっと照れ隠ししながらながら、口でも一応、ちゃんと言ったつもりだけど。
いつまでもこの気持ちを忘れないために、ここにも書いておきます。
眠気と戦いながら授乳してくれた一日一日、一晩一晩。
本当にお疲れさまでした。
ありがとう。
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