今日のおでかけ② ~たいきが泣いていると不思議なおばあさんが現れた

日記

公園からの帰り道、たいきはご機嫌に歩いていた。

道は一方通行一車線の車道をはさんで、両側に幅2メートルくらいの歩道がある。

ガードレールはないけどポールが数メートルおきに立っていて、車が突っ込んでくることはない。

たいきが飛び出さないかだけ心配だけど、車道に出てはいけないことはちゃんと教えてあるので、滅多にそちらに出ようとしたりはしない。


私はあんまりたいきと手を繋がない。

最近はたいきが手を繋ぎたがることが多いので手を繋ぐことも増えたが、今はまだいきなり走り出しても捕まえられないこともないので、自由に歩けばいいと思っている。

とにかく気をつけることはふたつだけ。

歩道を歩いていて横の車道に飛び出さないかと、 横断歩道に出るときに

「ぶーぶーこないかな~」

と言いながら一度立ち止まって、左右を見て安全確認をすること。

ところが最近、この安全確認をたいきがおろそかにしがちだ。

だんだん歩くのも早くなってきたし、そろそろちゃんと注意しなければいけない、と思っていた。


ちょうど交差点に差し掛かったところ。

たいきに後ろから

「ぶーぶーこないかな」

と声をかける。

ところがたいきはそのまま車道に飛び出そうとした。

手を伸ばしてたいきの右手をグッとつかみ、少し引き戻した。

たいきは、初めてのことでものすごく驚いたようだ。

呆然と立ちすくみ、それから泣き出した。

「ぶーぶーこないかな、や~あ」

ポロポロ涙をこぼす。

しゃがんでたいきと同じ目線になって、言い聞かせる。

「たいき、道を渡るときはちゃんと『ぶーぶーこないかな』しないとダメだよ。」

まあ、耳に入ってるか入ってないか。

泣きわめくわけではないけど

「やー、ぶーぶーこないかな、やー」

と言って涙をこぼしている。

「ぶーぶーがくるとね、怖いんだ。どーん、ってぶつかったら痛いよ。危ないんだよ。」

「ぶーぶーこないかな、や~」


さあ。

言うべきことはもう言った。

別に、泣き止ませて「ごめんなさいもうしません」と言わせたいわけではない。

理由を理解できたかどうかはともかく、「ぶーぶーこないかな」をせずに道に走り出ようとするといきなりビックリするような止められ方をすること、悲しい気持ちになること、お父さんはその時いつもみたいに優しくはないこと、だけ伝わってれば充分だ。

何回かやれば、しなくなるだろう。

問題はいま、たいきをどうするか、だ。

立って泣くばかりで、もちろん「おとーしゃん、や」と言っている。

どうしようかなぁ。

と途方にくれていると、一人の小柄なおばあさんが通りかかった。

たいきをふりかえって話かける。

「ぼうや!ないてるのかい?」

「なにか悲しいことがあったのかい?」

「泣いてたらダメよ。泣くならバーちゃんちの子になるか?」

「ほら、お父さんがいいんだろう?じゃあ泣き止みな。」

と言うとそのまま立ち去ってしまった。

一体誰?と思いながら「ありがとうございます」と背中に声をかけた。

たいきはそのおばあさんが怖かったのか、ベッタリくっついてる。


気を取り直して、そのまま抱っこ。

たいきはご機嫌になり、

「ひこーき、いるねえ!」

「しゅーしゅーしゃ、いるねえ!」

等と道から見えた好きなものを実況。

家までそのままだった。

一体あのおばあさんは誰なんだろう??

いずれにせよ、もしまたお会いする機会があったら、ちゃんとお礼を伝えたいと思う。