たいきはピアノが好きらしい
長崎の伯父さんから立派なイカが届いた。
伯父さんが自分で釣ったらしい。
別に漁師さんではない。
しかしでかい。
体だけで、たいきの腕より大きい。
恥ずかしながら、初めてイカをさばいた。
皮だの目の近くだのは食べないと奥さんが言うので、ありがたく頂戴する。
まあとにかくうまい。
今後は、なにかの自己紹介シートみたいなのを記入する機会があったら好きな食べ物のところには「イカ」と書こうと思う。
食事のあと、たいきがCDを持ってきた。
適当に持ってきたので、中身を考えて持ってきたわけではない。
単にCDプレーヤーに入れるのが楽しいのと、自分が入れたCDが鳴るのがうれしいのだ。
うちにはクラシックだのディズニーだのドラクエだののCDがたくさんあるのだけど、何をかけても大体は15秒くらい流して自分で止めてしまう。
大体、お気には召さないのだ。
今日持ってきたCDはジブリ映画「紅の豚」のサントラ。
私は好きな映画はと聞かれたら、ディズニーの名作「美女と野獣」とこの「紅の豚」の二作を答える。
特にこの「紅の豚」。
とにかく悪い人が出てこない。
もう、多分軽く100回以上は見た。
英語の勉強にと思って英語吹き替えで見ようとしたこともあるけど、頭のなかですべての台詞が日本語で再生されてしまって何にもならなかった。
せっかく出してきてくれたのだから、これは落ち着いて聞きたい。
とはいえまあ、ちょっと難しいだろう。
まあ、止められたらあとで聞けばいい。
たいきがプレーヤーに入れる間だけ少し考えて、4曲目の「帰らざる日々」をかけた。
ジーナの店で、ポルコとジーナが二人でディナーをとりながら会話するシーンに流れる、ピアノ独奏のしっとりとしたJAZZYな曲で、紅の豚を代表する名曲だ。
ピアノが流れ始めると、たいきは嬉しそうに笑って、おとなしく遊び始めた。
おや、意外。
そんなに長い曲ではないので、あっという間に終わる。
次は「さくらんぼの実る頃」。
これは加藤登紀子扮するジーナさんが、ピアノの伴奏にあわせて店で歌う曲。
カーチスが、ポルコに群がって取材を始める新聞記者に「歌は静かに聞くんだ!」とたしなめるシーンの、あれだ。
なに?わからない?
まあ、いい。
とにかくピアノが流れ、加藤登紀子のハスキーボイスが聞こえてきても、たいきは一向に気にせず遊んでいる。
思えば、たいきがうちに初めて帰ってきた日から、毎晩ピアノのCDを聞かせながら寝かしつけをしていた。
ベートーヴェンのピアノソナタ「月光」「悲愴」「熱情」で、演奏はルドルフ・ゼルキン。
まあ、王道中の王道といっていいこのCDを、3ヶ月~半年ごろまで毎晩聞いていたのだ。
ピアノが嫌いなわけはないか。
そのあと色々聞かせるようになったけど、よく寝たのは確かに、バッハの無番チェロを除けば大体ピアノ曲だった気がする。
三つ子の魂ではないけど、ちゃんと染み付いてるのかもしれない。
とりあえずこのCDをたいきが聴けることはわかった。
これを聞いとけば、映画の方を見られる日も近いかもしれない。
タイミングを見つけて、時々このCDをかけることにしよう。
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