今のうちに男性が育休を取った方がいい3つの理由(本当は怖い未来の話)

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2018年現在は、育休をとったせいで出世コースから外れる、だから育休取るのに躊躇する。

まだそういう時代かもしれない。

でも、10年後か20年後には、子育てをしてこなかったせいで出世できないという時代が確実に来る。

もちろん地域によって来る時期は違うだろう。東京が一番早く、地方は遅い。会社によってもばらつきはある。でもそれは確実に来る。

それも、そう遠くない未来に。

それはなぜなのか。

20年弱人事業界で仕事をしてきた経験から、

●大企業の人事部とはどういうものなのか

●今叫ばれている”女性の活躍”とは何なのか

●これからの中間管理職に求められるもの

という3つの視点を軸に説明して行きたい。


(1)大企業の人事部長と育休推進のメリット

・人事部に目標数値が降ってきた

上場企業の人事部門は、いま、育休の取得率の向上に腐心している。特に大きい会社であれば大きい会社であるほどそうだ。

人事やら管理部門やらという「数値目標なき部門」において、こんなにわかりやすい数値目標が降ってくることは珍しい。

しかし、何しろ、成果主義の時代だ。当然、この数字は人事部門長や管理部門責任者の評価に繋がってくる。

追いかけない理由は無い。

・大企業の人事部長(管理部門長)は誰なのか

ここでひとつ考えなければならないことがある。

昔から「人事部長」というのは他の部長ポジションからも一目置かれる存在だった。

それはなぜなのか。

それは、「人事部長」というのは会社の役員になるための勉強ポジションだからだ。

たとえば営業部門で30年勤めてきた人が、技術部門長を3年、人事部長を5年やってから役員になる。

営業だけ、技術だけを一筋にやってそのまま社長になるケースが無いわけじゃないけど、こういうルートの会社は多い。

役員や社長というのは会社全体のことがわかっていなければならない。会社というのは、株主が出したお金と、働いてくれる人でなり立っている。株主を扱うのが総務、働いてくれる人を扱うのが人事。

ところが、大企業の現場部門にいると株主のことも人事のことも一切意識せずに仕事をすることが多い。

だから大企業の総務部長と人事部長は役員、あるいは社長になるための必修科目だし、登竜門でもある。それがわかっているから他の部長さん達は総務部長や人事部長を恐れるのだ。

・もうひとつの人事部門の目標数値

もうひとつ、人事部門が追いかける大切な数字がある。それは「人材採用」だ。新卒、中途で、多い会社になれば年間1000人以上の人を採用している。

いい会社にはたくさん応募があるから簡単だろうと思うなら、それは甘い。大きい会社を受けるひとは、他の大きい会社も受けて、内定するのだ。その中で、大企業同士の熾烈な取り合いがあるのは言うまでもない。

何しろ、計画通りに人材が採用できなければ、計画通りの会社の成長は見込めない。人材採用というのは会社にとって最も重要な仕事のひとつなのだ。

そして、「いい会社であるか」という基準で会社を選ぶ人は多い。その基準のひとつとして「育休取得率」というのは確実にあるのだ。

今の若い世代を採用している人事に話を聞くと、明らかに今の新卒世代はワークライフバランスをものすごく重視している。出世できるかとか、いくらもらえるかよりも、「働きやすい環境か」ということは彼らにとってとても大切な指標だ。

その「働きやすさ」を最も端的にあらわしているのが実は「育休取得率」。今の大企業の人事部長がこの数字をメリットに感じる理由はここにもある。

しかし、私の記憶では5年ほど前は「育休取得率」というのは明らかに女性のことだった。

今は違う。大企業について言えば、「ダイヤモンド」とか「プレジデント」とかいうような経済誌でも新卒向けの会社案内でも「育休取得率」は男女別に書かれていて、女性が育休とるのはもはや完全に当たり前で、今テーマになっているのは「男性の育休取得率」なのだ。

時代は変わった。たった数年で、女性の育休は話題にならなくなったのだ。

・人事は頭が固い?

余談だけど、人事は頭が固いと思っている人が多いけど、実はそんなことは無い。

例えば、実は、インターネットが普及してきた頃、会社のホームページみたいなのが一気に広がったのは、実は人事部門からなのだ。多くの大企業でまず新卒採用のためにホームページを作り、それから数年後に本格的に会社の公式サイトを作った。

だから、パソコンとインターネットを使いはじめたのも人事部門から、という会社だって決して少なくは無い。

会社がブログやSNSを使うようになったのも採用のためからだった。

採用のために人事部がブログを書いたり、Twitterやfacebookのアカウントを作ることがはやり始め、その後、採用のためではなく会社の情報を発信する”公式アカウント”の文化が普及し始めた。

それをやっているのが誰なのかということを考えれば、なんのことはない。

採用サイトを作った人事部長が、その後社長になって会社としても同じことをやろうといえるようになっただけのことだけど。

・育休取得を進めていた人事部長はその後どうなるのか

何度も言うように、人事部長は役員、社長への登竜門だ。かれは数年後には役員になり、さらに数年後には社長になる。

後述するが、男性まで含めた育休取得を世の中が推進しはじめたのはつい最近のことだ。だから、まだそれをやった役員や社長さんというのは上場企業の中でも1%もいないかもしれない。

しかし、ほんの数年後、あるいは10年後、それがいきなり数10%になる。それも「三菱」とか「三井」とか「住友」とか、そういう堅くて古くて、尊敬される名前の会社ほどそうなのだ。

余談だけど、メガベンチャーの経営者は中々変わらない。ソフトバンクも楽天もサイバーエージェントもファーストリテイリング(ユニクロ)も、恐らく死なない限り経営者は変わらない。

でも、そもそも彼らは開明的で、女性の活躍をいち早く実現した経営者達で、だからこそ男性の育休取得にも超絶前向きだ。そして、今まで経済界で「若き成功者」だった彼らは年齢的にも、その頃には今以上に経済界の重鎮になっていくのだ。

(2)女性が活躍するとはどういうことか

・働く女性が増えた

ややこしいことはおいといて、ざっくり言う。

2003年~2007年ごろ、日本の大企業は若者の採用に大いに困った。就職氷河期を抜けたのだけど、それまでが氷河期だっただけに、それを取り戻す勢いで採用が回復した。

バブル崩壊から10年間おさえていた分まで採用しなければならなかった彼らは、それまでの男性偏重を捨てて、いよいよ本格的に女性にも総合職採用の門戸を開いていった。

丁度2000年前後にITバブルがあって、ベンチャー企業と呼ばれる会社が女性を総合職で採用して上手くいっていたことも、彼らが女性の総合職採用に踏み切る後押しをしたと思う。

彼女達が、今、30代になって、子供を産んでいる。ロールモデルもいない中で彼女達が必死で切り開いた道。みんな、色んな苦労やドラマがあったはずだ。

その背中を見て、その後輩達も仕事をしながら子供を産み始めている。その数が急激に増えたから、数年前からいきなり保育園が大幅に不足したのだ。

・女性管理職が増える

そして、次に来るのは彼女達の復職と、管理職登用だ。いまの50代は、そもそも女性社員の比率がすごく少ないのだ。管理職が少ないのは当然だ。

今の40代は育休制度があっても退職せざるを得なかったり、いわば、制度はあっても文化が付いてきていない世代だった。

そして、30代。特にその前半。今現役で子供を産んでいる世代は、育休をとっても会社を辞めない。いや、もちろんまだまだマタハラだのが横行していることは承知している。

でも、そういう言葉が生まれ、ちゃんと批判され、排除され、育休から復職する女性が急速に増えていることは事実なのだ。

彼女達が、やがて40代になる。当然、優秀な人もそうでない人もいるだろう。その中で、ひょっとしたら男性よりは割合が少ないかもしれないけれど、管理職に登用される女性は確実に増えていく。ただの母数と確率の問題なので、特別な理由は無い。

そして、おそらく政府も経団連もそのころには本格的に「女性管理職比率」という数字を言い始める。なにしろそのころには、それを言っても困らないぐらい、管理職になれる年齢と能力の女性が世の中にたくさんいる状態になるからだ。

しかも、そのとき社長をやっている人たちは、前述の「育休取得率」を追いかけていた人事部長だったひと達なのだ。

(3)育休が当たり前の時代に中間管理職に求められるもの

・管理職の評価

多分育休で右往左往している世代はまだ管理職にはなっていないだろう。実は管理職の人たちの評価基準には仕事の成果の他に「部下の育成」「部下の定着」というのがある。

語弊を恐れず言えば、まともな会社では、どんなに成果を出していても部下が成長、定着しない管理職はそれ以上出世しない。

だから、部長さんたちは自分の部下を出世(成長)させようと一生懸命育成もプロモーション(管理職への推薦)もするし、部下が辞めようとすれば必死で引きとめようとする。

・本当にあった怖い話(でもよくある話し)

余談だけど、ここでひとつあるエピソードを紹介する。

ある人が会社がいやになり、転職活動をしていい会社から内定をもらって、いよいよあとは会社を辞めるだけとなって、上司に退職を申し出た。

上司から飲みに誘われて、お前のことはものすごく評価しているし、次の評価では管理職に推薦しようと思っている、管理職になれば給料も100万円ぐらい一気に上がるしやりたいといっていた仕事もできるようになるから是非残ってほしいと説得された。

そんなに評価されてたなんて知らなかった。いい会社から内定をもらったけれど、そこですぐに管理職になれるわけは無い。どう考えても年収が100万上がるのに3年はかかる。

ということで喜んで会社に残ることにした。

そして、半年後。彼は地方のよくわからない支店に転勤させられることになる。もちろん出世もしない。給料も上がらない。説得した上司は「会社の決めたことだから」以外は何も話してくれない。

退職を言い出した部下を、上司は絶対に信用しない。自分の部下が退職するのは管理職として大きな傷になるので、一刻も早く自分の部下からいなくなってほしい。退職以外の形で。

身近なところに転属すれば、仲のいい管理職仲間にうらまれることになる。だから、もう出世コースから外れた人が管理職をやっている地方の支店に飛ばすように人事部長に頼んだのだ。そこで彼が退職しても誰も困らない。

人事部長も、これで彼の評価を守ったわけなので、貸しができる。いずれ役員なり社長なりになる彼にとっても、どうでもいい若者を守るより、いま管理職である彼に貸しを作っておいたほうがいいに決まっている。

かくして、半年前に転職活動をした人が、あらためて失意の中で転職活動を再開する。私が転職支援の仕事をしていたときに、この状態で転職の相談に来る人はたくさんいた。これは、日本の大企業で日常的に行われていることのひとつなのだ。

・10年後の中間管理職は”パパママ”に向き合わなければならない

話を戻そう。10年後の話だ。

社長は育休推進派。部下はワークライフバランス最重視の若者世代。これで中間管理職が育休取得に抵抗できるわけは無い。10年後の中間管理職は育休対応が当たり前になる。

そしてそのとき、育休からの復職、リモートワーク、時短勤務、といった今までの管理職があまり経験してこなかった新しい働き方問題にいよいよ本格的に直面する。

今までは、そういうことに強い関心と意志を持って取り組もうと思っていた経営者ぐらいしか、そのことを考える必要は無かった。しかし、このころには、普通の管理職の人間がそれを考えなければならなくなる。

人事がどんなに制度を作ったところで、自分の部門で仕事を割り振って進めるのは部門の責任者である彼らだ。彼ら自身が自分の頭で、保育園からしょっちゅう呼び出されるパパママである部下達にどうやって仕事をさせて成果をあげるのか考えるのだ。

きっとそのころには、うっかりすると平社員の半分とか、8割とかがそういう状態になったりするのだ。

育休も取ったことがない、保育園のお迎えもいったことがない、そんな人に勤まるだろうか。個別には色々な人がいるだろうけれど、総論として見れば、自分が経験したことをベースに、新しい働き方と仕事の進め方を考える方が上手くいくに決まっている。

そして、それがうまくできなければ、仕事の成果は上がらず、部下も成長しないどころか定着もせず、自分の評価も上がらないということになってしまうのだ。

そして、だんだんと、会社は変わっていく。

確かに社長は、自分は育休取らなかったかもしれないけれど、育休の推進だけは一生懸命人事部長としてやってきた。

そんな社長の下、育休もとったことがないような人間を管理職にしてはいけないのだという方向に、会社は進み始めるのだ。


社会は変わる。

いや、実はすでに下の世代から否応なく変わりはじめている。それを受けて、一番上の方からも変わり始めている。いまだに変わってないのは、30代40代の真ん中の世代だけだ。

悪いことは言わない。変われるなら、変われるうちに変わったほうがいい。

恐れても、逃げても、避けようとしても、きっとこうなる。

そのときに泣いても遅いのだ。

信じるか信じないかは、あなた次第です。

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