なぜ奥さんは今日の子供の様子の話をしたいのか
仕事を終えて家に帰る。
奥さんがご飯の支度をして待っていて、子供はもう寝ている。
ニュース番組かなんかを見ながらご飯を食べていると、奥さんがあれこれと今日は子供がどうしたとか、あれをどうしようとか話しかけてくる。
うちは2歳の子供がいて、夫婦2人とも働いているからあまりそういうシチュエーションはないけれど、子供が病気で仕事を休んで、一日子供の面倒を見ていた、とか、出張で2,3日家を空けたなんてことがあると、お互いにそんなことはある。
一体、奥さんは何を話したいのか。なぜ話したいのか。
実は奥さんが話したい大きな理由は2つあるんじゃないかと思っている。
私自身が、丸一日たいきと過ごしたときにどんな気持ちになったのかと、Twitterで色んなお母さんたちの気持ちを見ていて感じたことをまとめてみた。
ひとりひとり色んなシチュエーションがあるとは思うけど、何かの参考になればと思う。
※共働きとか、奥さんが働いて旦那さんが主夫とか、LGBTのカップルの人とかは、自分のシチュエーションに合わせて色々読み替えてください。
奥さんが旦那さんに今日あったことを話したい理由①
私は毎日保育園に子供を送っていて、あるいは一緒にお風呂に入ったり、毎日2-3時間は子供と関わる時間をもっている。
そうすると、その程度の関わりでも毎日とはいわないまでも、最近は2,3日にひとつは何かしらたいきの成長を感じることがある。
昨日までタクシーを全部「パトカー」と読んでいたのが、今日は「カクシー」と呼んだとか、月を見て「おつきしゃま、ちょっちょこわい」と言ったとか、「いたいのいたいのとんでいけー」をしてあげたら顔はまだ痛そうな顔をしているのに「もうだいじょうぶ」と言ったとか。
あるいはおむつを自分で履きたがったけどお尻のところまでしかはけなかったとか、初めて服を自分で脱ごうとしてうまく脱げなくて転んだとか、左右別々の靴下を履きたがったとか。
成長なんだか何なんだかわからないかもしれないけど、語彙が増えたり、自分でやりたい、自分で選びたいという意思を持つというのは大変な成長だ。
そして、自分でやろうとして失敗して、泣いて、お母さん、お父さんにやってもらって、でもひょっとしたら明日には自分でできるようになるかもしれない。
子供が毎日どんどん変化していく。
今日のたいきは昨日のたいきとは違う。
子供を育てていて、こんなにうれしいことはない。
はからずもいま「子供を育てていて」という言葉を遣ったけれど、まあ、そういう成長を促している部分もあれば、単に毎日世話をしている、という感じのこともある。
それでも、子供は育っていく。
子供を見ていて、親としての最大の喜びを、同じ親であるあなたも同じように喜ぶに違いないと、子供の成長の発見をしたほうの親は考える。
むしろ、聞きたいはずだから話す、という気持ちだ。
これは、今日の子供の様子の、他愛ない雑談ではないのだ。
飼ってる犬がいきなり「おはよう」って言ったら、びっくりして周りの人に話すでしょう?
話さない人もいるかもしれないけど、わたしはきっと奥さんには必ず話す(犬飼ってないけど)。
わかりやすいように例えているだけなので、子供を犬にたとえるのはどうなんだ、なんて怒らないでほしい。
2歳、3歳とか、ついこの間まで泣くしかコミュニケーション手段が無かった子供が、食べ物を投げて嫌がった、「これ、いや」と言った、がまんして飲み込んだ。
そういうことというのは、いわばそのぐらいの衝撃的な事件なのだ。
そりゃ、子供は人間なんだから育つのは当たり前だし、育ったら言葉ぐらいしゃべる。
それはそうかもしれないけど、それでもうれしいじゃないか。
あなたにその話をしている奥さんは、すごくうれしいからその話をしているのだ。
一緒になって喜んでほしいわけ。
だから、できることなら奥さんの話を聞いて「おお!そんなことできるようになったのか!」と驚いてほしいし、喜んでほしい。
そして、奥さんに「子供がこうやって成長するのは、毎日子供にたくさん話しかけてくれるあなたのおかげだね」なんて言葉をかけてほしい。
私は前は日記、今はブログを書いているけれど、こんな面倒なことはしなくてもいいから、ノートを1冊作って、「今日の事件」を毎日ひとつ書いてみてもいいかもしれない。
たったひとつ「『だっこ』と言った」とか、「ころんだけど泣かなかった」とか、「初めて夜泣きしなかった」とか。
これだけなら大した手間じゃない。
それに実際のところ、一日でいきなり1から10まで数えられるようにはならないし、クレヨンの色を全部言えるようになるわけでもない。
あたらしく覚えるのはせいぜい一日にひとつかふたつぐらいのものだ。
初めて3日ぐらいはばかみたいと思うかもしれないけど、1ヶ月も続けたら、きっとそれを振り返るのが楽しくなるし、奥さんの話を聞くのがもっと楽しみになると思う。
奥さんが旦那さんに今日あったことを話したい理由②
理由①の明るい話は置いておいて、理由②はちょっと暗い話だ。
0歳とか1歳ぐらいだと子供はほとんどしゃべらない。
奥さんは一日中、泣き声と笑い声と表情だけを頼りに子供の気持ちを推測しながら格闘している。
うちの子はいま2歳で、それなりに3-4単語ぐらいの言葉をしゃべるようになってきた。
「しょべるかー、あっちにいたねぇ!」とか「しゅーまい、ほんとおいしいねぇ!」とか「たいちゃん、おとーしゃんとおふろ、だーいしゅき!」とか。
まあ、しゃべっているようだけど、コミュニケーションできているというレベルではない。
相変わらずいやなことがあれば泣き出すし、泣き出すとその嫌なことを解消してあげても泣き続けたりもする。
しょせんは赤ちゃんにちょっと毛が生えた程度のものだ。
こちらは一応「ごめんね」とか「うれしいね」とか「いいうんちだね」とか話しかけるし、「うん」とか「いや」ぐらいは返ってくるけど、会話をしている実感は無い。
やってるのは実況とオウム返しくらいのものなのだ。
この、感情はあるけど説明はできないし説得にも一切応じない生き物と1日過ごすというのはとにかくしんどい。
まあ、例えば一日中ぶち切れやすいドイツ人(別に中国人でもサウジアラビア人でもいいけど)のVIPの客とか、あるいは偉い人から預かった大事な、でもえらいいたずら好きなペットのサルと過ごして、ようやく夜になって日本人出てきた、みたいな。
旦那さんが帰ってくると、ようやく日本語ができる相手が現れたということになる。
それが毎日毎日続くのだ。
一日ぐらいしゃべれない日があってもいいかもしれないけど、基本的にはなるべく毎日話をしたい。
なにしろその、夜の短い時間に「ひととしゃべる」ということをしておかないと、明日の朝になればまたそれが10時間ぐらいは続くのだ。
なんというか、うまく説明しづらいけど精神的な苦痛は大変なもので、あえて言えばえらく気が滅入るし、イライラもする。
子供といて楽しいのかもしれないけれど、それはそれとして、見えないストレスがジワジワと、でもすごい勢いでたまっていく。
だから、そういう意味では奥さんは何でもいいから「日本語が通じる大人」と会話がしたいのだ。
だから、仮にテレビを見ながらでもご飯を食べながらでもスマホでゲームをしながらでも、奥さんがそれでいいというならいいかもしれないけど、ちゃんと話を聞いて、ときどき相槌を打ったり質問したり感想をいったりして、ちゃんと会話をしてほしい。
もちろんうれしいはなしをしているときは一緒に喜んだ方がいいし、子供の病気とか成長の不安とか、あとは奥さん自身の心身の不調みたいな深刻な話をしているときはちゃんと聞かなきゃだめだけど、そんな深刻な話の日ばかりじゃないはずだ。
話し始める前に「今日は大事な話?」とか聞いとくといいかもしれない。
大事な話をちゃんと聞かないで適当にやっていると、最悪の場合ある日家に帰ったら突然奥さんも子供もいなくなっていたなんてことにもなりかねないので要注意だ。(詳しくは、「奥さんに連れ去られた子供と会う方法を考える ~奥さんと話ができない理由」を参照のこと。)
これが、奥さんが今日の子供の様子のはなしをしたい理由だ。
ぜひ、ちゃんと聞いて欲しい。
家事を分担する(「家事育児の分担のしかた」)とか、夜泣きに対応する(「子供はやっぱりお母さんがいい」)とか、色々やったほうがいいかもしれないことはたくさんあるし、やれることやれないことは、それぞれにあると思う。
でも、この、コミュニケーションで困っているお母さんは驚くほど多い。
これさえ円満にちゃんとできていれば、ストレスのかなりの部分が解消されるケースも多いと思う。
だからって「話を聞いてるからおれは家事はしない!」なんていってほしいわけじゃないけど。
でも、意外と旦那さん側からすると「家事育児やる気はあるけど、何から始めていいかわからない」なんて人も多いと思う。
そういう人も、こういうコミュニケーションができれば、段々何をするのがいいのか、何ができるのか、奥さんが何をして欲しいのかわかってくるはずだ。
だから、まずここからやってほしいのだ。
ただ「話を聞く」じゃなくて、ここまで書いたことを「意識して」聞くことが結構大事なので、そこは注意してほしい。
あとは、それぞれの家庭で話し合えばいいし、考えればいいこと。
何卒、よろしくお願いいたします。
m(__)m
※こんなのナマヌルイ!というクレームはTwitter(@taiki_no_papa)あてにお願いします。他の記事もご紹介します。

三輪車にリンゴジュースを座らせたいらしい。この後、うまく乗らないといって怒り出し、最後は泣いていた。理解不能。
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