祖父の失明について
私の父方の祖父は、私が物心ついたころには目が見えなかった。
と言っても失明したのは私が生まれた少し後だったらしい、ということは前から聞いていた。
最近その頃のことを詳しく聞く機会があった。
父には姉がいて、ただ、彼女は私が生まれる前後くらいに結婚を家族に反対されて家出同然、駆け落ちみたいな状態だった。
祖母はその心労もあったのかもしれないけど、私が2歳になる前に癌で亡くなった。
ちょうどその頃私の母のお腹の中には弟がいて、もう7ヶ月とか、そのくらいになっていた。
私の記憶(といっても更に下の妹の妊娠中の記憶)では母はつわりが重い人だったので、今のたいきくらいの子供(私だ)と重たいお腹を抱えて大変だったろう。
そんなころに祖父は眼病を患ったらしい。
都内の大きな病院で手術をして、手術そのものは上手くいった。
しかし、その直後、まだ絶対安静にしていなきゃいけないときに、一人でトイレにいこうとした。
もちろんなにも見えず、手探りだったのだろう。
なんでナースコールみたいなのを呼ばなかったのかは知らない。
とにかくそこで転倒して、祖父の目は光を取り戻すことができなくなった。
父は公務員で、ちょうどその頃定期転勤の時期だった。
妻は妊娠、母は癌、父は眼病という、呪われているんじゃないかっていうくらいの状況で、嘆願書だかを書いてあまり辺鄙でないところに転勤になったらしい。
でもさあ、まあ、他人だったらふーんそうですかっていうけどさ。
そんな状況で、引っ越し先が近かろうが遠かろうが、引っ越しはしたわけで、あんまり関係なくない?
で、祖父が手術後何日入院してたか知らんけど、その間くらい仕事やすんでつき沿えばよかったんじゃないのか。
という気がする。
仕事やめても困らない程度の資格も持っていた。
まだ若造だったから、妄信的に仕事を第一に考えてただけだったのかもしれないけど。
今の感覚からすると、疑問に思う部分はある。
本人には言わないけど。
その後、祖父は生活のパートナーを必要としたので再婚したり、私たちはさらに地方に転居したり、伯母が祖父の面倒を見たりで、祖父とは年に一、二回会う程度だったろうか。
義理のおばあちゃんになった人は、自分の子供はいなくて、私たち兄弟や伯母の子供達をよく可愛がってくれていたような気がする。
祖父はなんだかんだでその後も元気で、私が24才だかのときに亡くなった。
祖父の後妻はさらにがんばって、去年だかに亡くなったらしい。
こちらは葉書一枚来ただけで、詳細は知らない。
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