たいきのパパのプレパパ教室

お父さんであること, 子育てを考える

はじめに

子供が生まれるまで私は気づかなかった。

赤ん坊は、生まれたその日から呼吸をし、おっぱいを飲み、うんちをし、泣き、寝る。つまり、お母さんのお腹の中で十月十日守られてきた命は、生まれたその日から通常運転で人間を始める。

で、赤ん坊が生まれたその日、お父さんとお母さんが何かをサボると、赤ん坊が生まれたその日にお父さんとお母さんが何かを間違えると、大変なことが起こる。

育児は仕事や習い事と違って、始めたその日から人の命のかかった本番。研修期間はない。幸い、生まれたばかりの子供にできることは少ないし、やらなければならないこともそう多くはない。

しっかりと読んで、赤ちゃんが生まれてくる準備をしておいてもらいたい。

長いようだけど、大きく分けるとテーマはたった4つ。

  • 呼吸
  • 食事
  • 体の外側のケア
  • 体の内側のケア

これだけ理解すれば、とりあえず子供のことは最低限できるようになる。


(1)息をすること

赤ん坊は息をする。

当たり前だけど大切なこと。

子供が生まれたばかりの時は寝ている赤ん坊を見ながら「ほんとに息してるかな?」なんて不安になって呼吸を確認したり手足に触ってみたりするのは誰しも経験すること。

幸いうちの子は息が止まっていたことは一度もないけれど、色々な要因で子供の息は止まる。

・何かが顔にかかって止まる

大人用の布団や、タオルなどが顔にかかって息苦しくなっても赤ん坊は何もできない。だから、赤ん坊の顔には絶対に何もかからないようにしとかなければならない。

タオルが顔にかかったくらいで、と思うかもしれない。でも、赤ん坊が無意識に口を動かすうちにタオルが口に入ってよだれで濡れてきたらどうだろう。

なにしろ、赤ん坊は生まれたその日からおっぱいを吸うために、何かを口に入れるための動きだけは出来る。

タオルが口に入ればよだれで濡れる。

そのタオルを赤ん坊は吐き出すことができない。

・添い寝中の窒息

授乳中や添い寝中に親の体で窒息する事故がある。お父さんは授乳はしないかもしれないけれど、添い寝はするかもしれない。

寝てるときに絶対に子供に覆い被さったりしちゃいけない。子供の方に寝返りを打ってもだめ。手や腕を眠ったまま広げて子供の顔にのっかる、なんてことももちろんだめ。

眠っていたから仕方ない、なんていいわけをしても子供は帰ってこない。

だから、添い寝をするときは絶対に寝落ちしないように強い意思をもって添い寝をすること。

寝不足で寝落ちしそうなら添い寝しない方がいい。

・授乳中の事故防止

授乳中に窒息するのもお母さんが寝落ちした場合。

生まれて何ヵ月かは夜中にも何回も起きて授乳しなきゃいけないからお母さんは大体みんなものすごい寝不足になる。

夜間の授乳はなるべく一緒に起きて、奥さんが寝ちゃわないように見ててあげた方がいい。

あなたが育休を取らないなら、昼間の授乳は、奥さんが、寝不足で体力の限界の中で一人ですることになる。

ちなみに、お母さんは基本的に昼寝もできないと思っておいた方がいい。

子供が起きていれば起きているで、寝ていれば寝ているで、常に見張ってないとどんな不慮の事故があるかわからない。

昼間、一人で子供を見ている奥さんは、万が一のことがないか一日中はらはらしながら子供のそばにいなきゃならない。その緊張感たるや、高い崖の上の、風で揺れる綱の上を渡っているようなものだ。

家事だって少しはするかもしれない。

あなたが家に帰ってきて、二人で見てやることができる時間になるまで、そういう極度の緊張を強いられるのだ。

奥さんは、泣きたいくらい辛い気持ちであなたの帰りを待っているのだ。

奥さんが昼の授乳でも寝落ちしないようにするためには、夜の寝かしつけとか、家事とか、そういうことはなるべくあなたがやって、奥さんには少しでも睡眠をとってもらわなければならない。

奥さんが楽をするためではなくて、子供の命を守るため。

・寝ゲロ

赤ん坊はミルク(おっぱいでも人口乳でも)を飲むと、必ず寝ゲロをする。

寝ゲロをさせないためには、飲んだあと必ずゲップをさせること。

ゲップをしなければ横向きに寝かせるという手もあるらしい。

とにかく、寝ゲロ対策は、赤ん坊が自分で寝返りが打てるようになるまでは、一度も忘れてはダメ。

・きれいな空気

どんな家なのか、どんな服を着てるのか、どんなものを食べてるのか等によっても家の埃の量は違うけれど、とにかく赤ん坊は呼吸器も弱い。

ほこりまみれの家では喘息になったりするかもしれない。

毎日掃除機をかけるのか、3日に一度なのか、週一度なのかわからないけど、とにかく空気にも気を付けなきゃいけない。

奥さんは毎日掃除機をかけるなんてなかなかできない。少なくとも、赤ん坊がコホンとひとつせきをしたら、あなたがとりあえず掃除機をかけなきゃいけない、というくらいに思っておいた方がいい。

子供が生まれたのをきっかけに、空気清浄機を買う人も少なくないらしい。

(2)食事をすること

奥さんと話し合う必要があるけど、母乳が出るならミルクは使いたくない、というお母さんは少なくない。

これをどうするのかは、お母さんの意思を尊重すること。

ミルクを使うことで喪失感や罪悪感を感じるひともいるし、他にも完全母乳育児にこだわる理由は色々あるらしい。

私は個人的にはミルクでもいいじゃんと思っていたけれど、出産直後の母親の精神状態はかなり不安定で普通じゃない。

特に赤ん坊の食事についてはお母さんの考えに沿って行動しないと、お母さんの心の方が大変なことになりかねないので注意すること。

で、もしミルクを使うなら、哺乳瓶の清潔を保つことと安全なお湯を使うことがとても大切。

とにかく赤ん坊は免疫力が全くないと言っていいくらい低いらしく、大人にとっては大したことのないもの(雑菌とか)でも、赤ん坊にとっては命取りになりかねない。

哺乳瓶は毎回熱湯消毒。調乳も毎回煮沸したお湯を使って、いちいちやけどしない温度まで冷まして飲ませる。

こういうことをどんなに気を付けてもミルクは事故がありそうで怖いから、絶対安全な母乳だけでやりたい、というひともいるみたい。

詳しいミルクのやり方は他のところで調べてほしい。

(3)赤ん坊の健康に気を配る(体の外側)

・毎日のチェックを怠らない

医療のことは専門じゃないので、詳しくは書けない。

とにかく毎日、赤ん坊の体を隅々まで見て、肌が荒れてないか、発疹が出てないか、その他、なにか異常がないか気を付ける。

異常というのはつまり、昨日と違うところがないか、ということ。

蚊に刺されると、大人は痒いからかくし、我慢もする。

子供はかゆくても自分でかけないし、我慢もできないから、痒い間中拷問を受けているようなもので、ひどく泣く。もちろん痛くてもそう。

痛くて泣いてるのか、痒くて泣いてるのか、おなかがすいてるのか、眠たいのかなんて、泣き声ではわからない。

だから毎日ちゃんと、くまなく体を見ていてやらなきゃいけない。

あせもでも虫刺されでもその他のことでも、とにかくいつもと違うことがあったら病院につれていって、ひどくなる前に早めに行っても対処する。

病院に連れていくのは奥さんでもいい。

ただ、二人の目で毎日見て、何かあったときには二人の頭で考える。

ひとりで毎日チェックして、ひとりで考えるのは怖いでしょう?見落としもあるかもしれないし、ミスだってするかもしれない。

奥さんも同じ。

だから、毎日の体のメンテナンスは、ふたりでやる。

そうすれば見落としも精神的負担もとても少なくなる。

・保湿とおしりのケア

それから、保湿とおしりのケアは毎日のこととしてとても大事。

どちらも怠ると、あっという間に皮膚が炎症起こして真っ赤になる。痛いのか痒いのかは知らない。

どうしても知りたければ何時間かうんちかおしっこを自分のおしりにつけて放置してみたらいいのかもしれないけど、私はそこには興味がないのでしなかった。

とにかく頻繁におむつをかえる。

そして、最低限風呂上がり、それから着替えの時には保湿ケアをしてあげる。

このときに、赤ん坊の体を見てやることもできるし、保湿クリームを体中に塗りながら、肌のアレてるところがないか、手でも確認できる。

(4)赤ん坊の健康に気を配る(体の内側)

体の内側を見るなんて、できるの?

実は、たったひとつだけ体の内側の様子を知る方法がある。

それは、うんちを見ること。

動物園の飼育係さんも同じらしいけど、とにかくうんちは健康のバロメーター。体を壊すと緩くなったり、赤くなったり黒くなったり白くなったりする。

とにかく毎日見ていれば「昨日と違う」ということがわかる。うんちが昨日と違うということは、体のなかで昨日と違うことが起こっているということ。何かあって病院につれていくとうんちのことは必ず聞かれる。

昨日のうんちはどうだったか、今日はどうなのか、いつからゆるいのか。

固さや色やうんちの回数が、診断のポイントになったりするらしい。

あからさまにいつもと違ううんちの時は、うんちのついたオムツを病院に持っていく。その場でうんちのウイルス検査をしたりもする。

うんちを知らずして、子供のことを知っているとは言えない。

一度悪いうんちを経験すると、おむつを広げて健康的ないいうんちを見るたびに嬉しい気持ちになるものだ。

もちろん、うんちが出るたびに夫婦二人でやってもいいし、やれる方がやってもいい。とにかく、1日に一回、せめて2日に一回くらいは自分でオムツを替えてうんちを見ること。

回数は多ければ多いほどいい。


さて、最後にもうひとつだけ大切なことを伝えたい。

子供が生まれてからしばらくは、ほぼ24時間体制の育児プロジェクトが始まって、結構体力的には大変になる。

ここまで説明した4つのほかに、もちろん掃除洗濯、食事の支度、買い物、予防接種なんてのもあったりする。

奥さんひとりでやると産後うつになりやすかったりする。何しろ、毎年10万人ものお母さんが産後うつになっているらしいから大変だ。

何年後、あるいは何十年後かにいきなりこのときのことを理由に離婚されたりもする。

ふたりでやってもなかなかきつい。

なかなかきついから、うまく自分で休んでほしいし、奥さんのことも、うまく休ませてほしい。

奥さんが、この4つをちゃんとできれば、あなたが半日くらい寝てても子供はそうそう死なない。

逆に、完全母乳なら授乳は仕方ないとして、それ以外をあなたがちゃんとできれば、奥さんも半日くらい授乳だけしてあとは寝てるなんてこともできる。

そうやって、お互いに体力の限界が重ならないようにマネジメントするのは、旦那さんの大事な仕事だ。

なにしろ、子供が生まれてから数ヶ月、あるいは長いと何年かは、お母さんは子供のことが心配すぎて、手を抜いたり気を抜いたりする機能が壊れている。

しっかりと奥さんに休息させつつ、自分の体調管理もする。実はこれが一番大切かもしれない。

あとは、おとなの食事だの家事だのは適当に分担したり二人で元気なときにやったりすればいい。

二人でやるなら、うまいやり方はいくらでもある。

いうまでもないと思うけど、間違っても家事を奥さんに全部丸投げにしたりしてはいけない。


しばらくたつと、子供は寝返りもうつようになるし、寝ゲロもしなくなるし、免疫力もついてくる。

その頃には家事も育児も二人ともなれてくるから、すべてが見違えるように楽になる。

まあ、それまで一年か、二年くらい。

本当に大変だったのは、うちの場合は一年目だけだったかもしれない。

残念だけど、私はここまで書いたこと、子供が生まれてからしばらく、全然わかってなかった。

奥さんに聞いたら「確かになんにもわかってなかったけど、なんとかしよう、一緒にやろうという気持ちだけはすごく感じたから、辛くはなかったし、教えることもできた」と言っていた。

奥さんへの感謝と、謝意と、反省込めてまとめてみた。


最後の最後に。

あなたの育児ライフが、奥さんと共に笑顔と喜びに溢れたものになりますように。

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