とうとう一緒に入ってくれた

日記

「おとうさんとお風呂に入ろうか」

と声をかけた。

今日は奥さんが残業の日。

たいきの返事はこうである。

もう、どうしようもない。

大きなため息が出てしまった。


そうかぁ。

たいきはお父さんとおふろやだよね。

おかあさんがいいもんなぁ。

ごめんね。

でも今日はおかあさん遅いんだ。

お風呂には入らなきゃいけないんだ。

どうしたらお父さんと入ってくれるかなぁ。

お父さんはたいきが大好きなんだ。

たいきとお風呂にはいりたいな。


「うん、いーよ」

耳を疑った。

たいきは顔につけた食器をはずして立ち上がり、歩き始めた。

あわてて追いかける。

たいきはまっすぐお風呂に向かった。


お風呂のなかでもたいきはごきげん。

ここのところ、無理に一緒にはいると、お風呂の間中泣き叫んでいた。

髪を洗うのもずっと「こわい」と叫び続け、身をよじっていやがった。

今日はどうしたことか。

自分から私の膝の上に座ってせっけんに手を伸ばす。

体を洗い終わるとそのまま私の膝の上に寝転んで、頭を洗う態勢になる。

「こわくない?」

「うん」

そのまま頭を洗ってやった。

たいきは、気持ち良さそうにひとつあくびをした。


お風呂から上がって、寝るしたく。

ベッドにいくとたいきはいつもと違うところに寝転んだ。

「おとうさんはどうしようか?」

「ここ」

たいきは自分の左隣をぽんぽんとたたいた。

いつもはたいきの右側に寝て寝かしつける。

でもそこは多分おかあさんの寝るところ。

おとうさんには反対側に寝てほしいということらしい。

「ちんちん」

ちんちんを触りながら寝かしつけをしたことはない。

「ちんちん?」

「ちんちん」

「ちんちん?」

「ちゅんちゅん!」

かわいいかくれんぼだ。

♪すずめがね、おにわでちょんちょんかくれんぼ…

の「ちょんちょん」のことだった。

かわいいかくれんぼ、はらぺこあおむし、自作のおとうさんの子守唄、を三十分も歌ったら、かわいい寝息が聞こえてきた。


今日はたいきを泣かさないでやれた。

本当によかった。

おやすみ、たいき。

いい夢を。