たいきはお父さんの抱っこを覚えていた
【ワンオペ前半戦】
久しぶりにたいきと二人きり。
昼寝してたたいきが咳き込んで目覚めた。
泣きながらこっちに手を差し拡げて抱っこしてくれと主張する。
抱き上げてやるとまた寝息をたて始めた。
寝たかなと思ってベッドにおこうとすると、イヤイヤという。
やれやれ。
しばらく抱っこか。
里帰り出産から2ヶ月。
うちに帰って来たたいきを、毎晩抱っこして寝かしつけていた。
何ヵ月か、半年間か、もう少しかなぁ。
本当に毎晩一時間前後抱っこ。
たいきはその頃から縦抱っこしか受け付けなかった。
だんだんたいきの体が大きくなって、腕の位置と肩の位置が合わなくなってきて、その度に寝やすいポジションを調整して。
とうとうミルクを夜中にやってもいいことになって、そのあとはミルクの寝かしつけが増えて。
いつの間にかお母さんのおっぱいの寝かしつけが定番になったのは、たいきがあんまり夜中に起きなくなってからだっただろうか。
さあ、それぞれいつのことだったのか、Twitterをさかのぼればわかるだろうけど、全然覚えていない。
とにかく、もう何ヵ月か、抱っこで寝かしつけはしてなかった。
久しぶりにたいきとふたりきりで、たいきを寝かしつけ抱っこしてる。
耳元で寝息が聞こえる。
たいきは咳き込んで起きたとき、泣きながら両手をこちらに差し拡げて抱っこをせがんだ。
お母さんがいない。
おっぱいがない。
ミルクがない。
保育園の先生もいない。
お父さんしかいない。
そんな中で、
『お父さんの抱っこで寝たい。』
たいきは全身で、はっきりそう言ったんだ。
重たくなったなぁ。
今も保育園の送り迎えで抱っこは毎日するけど、この、終わりの見えない寝かしつけの抱っこの感じ。
これはこれで独特の味わいがある。
まだまだちっちゃいなぁ。
重たくなったなぁ。
たいきはあの抱っこを覚えてくれてたんだなぁ。
あのころと同じレコードが回っている。
ふいに涙が溢れた。
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