転勤族の男性が転勤をきっかけに結婚することについて

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転勤族の男性のプロポーズは大団円なのか

転勤族の男性が転勤するときに「結婚しよう」とプロポーズするというのは、比較的昔からあるシチュエーションで、ドラマや漫画のネタなんかにもちょいちょいあったと思う。

女性の方はようやくきたかという感じで「うん」かなんか言って退職して結婚してハネムーンで大団円。末長く幸せに暮らしましたとさ、というパターン。

どうもこの2年ほど子育てしながらtwitterで色んな人のつぶやきを見ていて、何か大事なことを見落としてたんじゃないかという気持ちになっている。


転勤をきっかけに結婚した女性がまず体験すること

最初から女性が専業主婦になることを、ある種、宿命づけられてた時代ならそれでよかったのかもしれない。いまだって、それで幸せな人もたくさんいるんだろう。

でも、3年とか5年に一度引越しをする中で友達づきあいもいちいちゼロからやり直し。転勤先での生活基盤も毎回奥さんが作らなきゃ行けない。子供の学校やらの保護者づきあいもしなきゃいけない。

それでいて長く付き合った友達はいないから、なんとなくずっとそこに住んでる人たちで形成されるコミュニティには完全には溶け込めないし、溶け込んでもまた引越しだ。

20代の人にはわからないかもしれないけど、30代すぎてアラフォーとかになると、3年っていうのはあっという間。これはなかなかストレスフルじゃなかろうか。


転勤をきっかけに結婚した女性のキャリア

専業主婦を想定してない場合は一層事態は深刻だ。

ただでさえ女性の転職というのは男性の転職と比べても求人枠が少ない。

私は大手転職支援会社でキャリアコンサルタントをやっていたのだけれど、基本的に40代の転職というのは管理職を求めている。そして、女性を中途採用で管理職に迎えようという会社は、残念ながらほとんど見たことがない。

法律上、求人には性別は書いてはいけないことになってるし、採用において性別を理由に落としてはいけないことになってはいるけど、そもそも男性しか想定してないので書類選考を通過しないことがほとんどだ。

しかも、夫の引越しに合わせてついて回ることが前提になっているとしたら、5年とかしかいないつもりの人間を採用するというのは、日本の会社にとってはまだまだハードルが高い。

そうすると、そういう人たちは、キャリアを積むことを想定しない、時間の切り売りみたいな仕事にしかつけなくなってしまう。

そういった仕事では、やりがいや生きがいを仕事に求め続けることができない人がいることは間違いない。

転勤するジャムおじさんを見送るバタコさん

転勤族の男性が、転勤を命ぜられたのをきっかけに地場の会社に転職して、地元の会社に勤める女性と結婚する、ということがあってもいいのではないか。

キャリアコンサルタントらしく生涯年収やキャリアや仕事のやりがいといった観点からその合理性を語ってもいいのだけれど、本稿ではそれは割愛する。

割愛するけれど、これだけは言いたい。

転勤族についていく決断は、女性にとっては上記の通りキャリアを捨てることに他ならない。つまり、二度とキャリアを積むことのできない生活に入るということだ。

しかし、転勤族の男性がそのキャリア(多分全国展開してるような大きい会社の立派なキャリア)を活かして地場の会社に転職することは、キャリアを捨てることにはならない。そこで今までの経験と実力を活かしてキャリアを積んでいけばいいし、「元大企業」ということで期待されて、ある程度の下駄を履いた状態で(つまりキャリアの延長として)仕事に就くことは十分可能なのだ。

大企業をやめて地場の会社に勤めるときに捨てるのは、キャリアではなくてただのブランドなのだ。それは仕事の実力やキャリアとは関係ないものだ。


転勤についてきてくれという男性は何を考えているのか

こういう男性は、おそらく自分が会社を辞めることなんて微塵も考えたことはないと思う。純粋に「奥さんになる人は自分の転勤についてくるものだ」と思っているだろう。わたしも残念ながら20代のころは普通にそう思っていた(20代のうちに転職は何度かしたけど)。

これは、ひょっとしたら性別で役割を自動的に決めてしまう思考かもしれない。つまり子育てや家事は全部奥さんの仕事。パートに出てもいいけど家事育児は完璧にやってね。

そんな風に考えるタイプの人は、確実にこの「奥さんはついてくるもの」と思っている人と同じか、かなり近いところにいるはずだ。

そこまで考えてしまうのは早計かもしれないけれど、そう考えるとちょっと慄然としてしまう。「転勤だから結婚しよう」「はい」のあとは、そんなにめでたしめでたしではなかったのかもしれない。


今の私なら

「結婚したいけど転勤がある。だから一緒に住むにはどちらかが転職しなきゃいけない。どちらが転職した方がより良い人生を2人で歩めるか、一緒に考えてシミュレーションしよう」と、今の私ならいうかもしれない。

ちなみに、ひとつの会社に勤め続けるというのはレールに乗ることだ。転職すると、そこでは実力で自分の価値を認めさせ、自分のキャリアを切り開いていかなければならない。そういう意味で、転職というのは確かに楽ではない。

楽ではないけれど、自分が何をしてどう認められるのかということがビジネスを通してきちんと理解できる。これは楽しいことだ。飯もうまい。

ペヤングソース焼きそばギガマックス

閑話休題。

大切な友人が「転勤のタイミングでついてきてくれるなら結婚しよう」と、ある男性に言われているらしい。彼女は数年の留学経験があって英語もペラペラで、今は大企業相手にコンサルタントのような仕事をしている。

そんな彼女がキャリアを捨てることは、私はとてももったいないと思う。

でも、それが彼女の幸せならそれはそれでいいのだ。私などの口を出すことではない。

ただ、もし、このことを知らずに盲目的に「そういうものだ」と思ってその道に足を踏み入れて、後で後悔するのであれば、それはなんとか今のうちに止めてあげたいと思うのだ。

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