悲しいお風呂、楽しいお風呂

お父さんであること, 日記

ひとりでお風呂に入った。

この一年、家にいる日でひとりでお風呂に入るなんて、仕事か飲みで夜遅くなったときくらいだから数回しかない。片手で数えるくらいかも。

まして、飲んで帰ったわけでもないのにひとりでお風呂に入るなんて初めてのこと。

イヤイヤ期というやつ。

朝の着替えではたいきの着たい服を選んで着せる。ごはんもどうしてもシューマイとヨーグルトを冷蔵庫から出すまでテコでも動かないというたいきに根負けしてそのふたつはストックに欠かせない。

保育園のお迎えも、ベビーカーはすっかり使わなくなった。徒歩5分の道のりをふたり手をつないで犬を追いかけ、車を見送り、葉っぱに触り、月を眺め、歌を歌いながら40分かけて帰る。

一度ルーチンになったものは必ずやらないと気が済まないからどんどんルーチンが増える一方で、昨日と同じものは嫌がるようにもなった。

あんなに好きだったはらぺこあおむしの動画も「もう一回」のリクエストに応えながら何十回も見たけれど、もう、一度見た動画が流れ始めると「ばいばい!」。

好きなものを与えとけばいい、という時代は終わった。大人と同じで「飽きる」ということを覚え、新しい刺激を好むようになったんだろう。


たいきはお母さんと触れ合う時間が、朝起きてからの30分くらいと、夜帰ってから寝るまでの時間しかない。

今日は家に帰るとお母さんにべったり。おかあさんのお腹にしがみつくたいきにふたりで話しかける。

「そろそろおふろはいろうか?」

「や」

「おとうさんとお風呂はいろ」

「や」

「お風呂でおもちゃが待ってるよ」

「や」

幸せそうにしてるたいきを引き剥がしてお風呂に連れて行く気にはならなかった。

「お母さんとお風呂はいる?」

「…や」

それもいやなんかい!

と思ったけど、お母さんお風呂はいるよ、というとなんとか納得してついて行った。

後ろ姿を見送って、寝巻きとオムツを用意する。


出てきたたいきを受け取って服を着せて、寝室に連れて行く。

「薬塗った?」

そうだった。忘れてた。数カ所の虫刺されに軟膏を塗る。

寝かしつけをしてくれる奥さんの横でスマホを眺めながらぼんやり考える。

さて、どうしよう。

ひとりで家のお風呂入るなんて久しぶりすぎて、どうやって入っていいかわからない。

twitterで見た話を奥さんにする。

「おとうさんにイヤイヤ言い始めて、数ヶ月経ってからお母さんにもイヤイヤ言い始めたりする子もいるらしいよ」

われながら、なんの負け惜しみなのか。


おもちゃの片付いた、ガランとしたお風呂で体を洗いながら考える。

これが成長ってやつか。

そういえば、哺乳瓶も長いこと使ってない。

買ってきてある離乳食のストックももう使わないんだろうな。

あしたはまた一緒にお風呂はいってくれるかな。

そうだ、お風呂の新しい遊びを考えなきゃ。

毎日、たいきをどうやって笑顔にするか。

また新しい、楽しい仕事が増えた。

そう考えたらまた、ワクワクしてきた。

顔を洗って、風呂を出るとたいきがすごい格好で寝てる。

おやすみ。

明日がたいきにとって今日よりも幸せな1日でありますように。