1歳児とラーメン屋に行った話②

お父さんであること

店はそんなに混んでない。

ラッキーなことに二つある4人がけのテーブル席のうち一つが空いている。

カウンター席は1人がけの椅子が並んでる普通のやつ。

座面も高すぎるのでたいきと座るのはどう考えてもむり。

しかしこのテーブル席にも問題が。

たいきが動き回ったり走り出したりすると困る。

たいきは奥側に座らせたい。

ところがそっちにはお酢だのラー油だのが置いてある。

さらに、壁にはティッシュの箱が据え付けてある。

もう、引っ張ってくれと言わんばかりにティッシュが顔をのぞかせている。

一瞬悩んだものの、やはりたいきを奥にする。

席に座ると若い女性の店員さんがやってきた。

目鼻立ちのくっきりした、意志の強そうな顔立ち。

雰囲気はなんかチャラそうな、昔の言葉で言えばはすっぱな感じの女の子。

「お客様、3名様ですか?」

たしかに。

4人がけの席の向こう側が綺麗に空いてる。

母親が来るものと思われても無理はない。

それに空いてるとはいえ4人がけの席を2人で占拠。

しかし、こちらにも実は言い分はある。

まず、もうひとつの4人がけの席には老夫婦が2人で座っている。

あちらも2人、こちらも2人だ。

そして、わたしが注文する食事の量はどう見ても一人分ではない。

金額的にもラーメン二杯よりずっと高い。

そこまで考えてこの席までやってきたのだ。

心の中で臨戦態勢をとりつつ、申し訳なさそうな表情を作る。

「いや、すみません、ふたりなんですが…」

と言い終わる間も無く

「あ、そうですか。大丈夫ですよ。いいこだね〜」

と笑顔でたいきに話しかけてくれた。

たいきが嬉しそうに手を振った。

1歳児とラーメン屋に行ったはなし③