1歳児とラーメン屋に行ったはなし⑤ たいきはおっさんくさくなった

お父さんであること

机に並んだのは、つけめん、餃子、炒飯、ネギチャーシュー丼。

たいきの目が輝く。

店員さんは当然のように子供用の取り皿とフォークも用意してくれた。

そう。

あの、ぱっと見、気の利きそうなすてきな店員さん。

とりあえずつけ麺のめんを一本たいきに渡す。

少し手遊びして、すぐに口に入れた。

ちゅるちゅると飲み込んでいく。

よし!

取り皿にめんを取り分けてやって、たいきが食べ始めるのを見届ける。

とりあえずしばらくはこれでいけるはず。

何か起こる前に少し食べてしまおう。

大急ぎでチャーシュー丼を頬張る。

半分ほど食べたところで、たいきに異変。

「げはっ」

という声とともに、麺を吐き出した。

あわてて手で受け止める。

次から次に出てくる短く噛み切られたメンの中に、

一本、ずーっと続いて出てくるめんが。

これを引っ張り出してやると、たいきが落ち着いた。

どうやら、長い麺を一本だけ噛みきれないままズルズル飲み込んでいたらしい。

麺はもう怖がって食べないかな?

と思ったが、また食べ始めた。

1人で食べさせてるとまた同じことになる。

しかたないので、一本一本丁寧にフォークに巻きつけて、まとめて口に入れてやる。

よろこんでもぐもぐ食べていった。

この後、時間をかけて麺をある程度食べて、餃子に行って、こちらでもやけどしかかったり口から出したり投げそうになるのを止めたり、炒飯で遊び始めるのを阻止したり、店員さんに助けてもらったりしてるうちに待ち合わせの時間に。あわてて机の上に残っている食べ物を一気に自分の口の中に詰め込んで、たいきの手と口を拭いてやって、店を出たのでした。

出るときにはあの最高にイカした店員さんがたいきにバイバイしてくれて、たいきもバイバイし返して、笑顔で退店。

味は正直全くわからなかったけど、いい店だった。

横浜は高島町の「實家」。

が、まあ、当分、たいきとふたりでラーメン屋に行くのはやめておこうと思う。

家に帰ったら奥さんに「たいきがにんにくと汗とラーメンの油のにおいで、おっさんくさい」とおこられた。

1歳児とラーメン屋に行ったはなし、おわり。

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