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パパになる前、子供が熱を出して病児保育に預けようか悩んでいたママさんをしかりつけて泣かせてしまったときの話

彼女は勤続10数年の社員で、多分、あの会社で産休取った最初の方の社員のひとり。会社は子育て関連の会社で、彼女の業務は、愛社精神の強さとコミュニケーション能力の高さと、社歴の長さを買われて、人事(主な仕事は面接官)。

私は、彼女の上司として転職でその会社に入社して、当時数か月目ぐらい。ただし、その会社には週1日しかいかない。

ある、私の出社日に彼女から、相談があると言って別室に呼ばれた。かいつまんでいうとこんな内容。

「実は先日の夜子供が熱を出した。次の日は病児保育に行ってもらえる?ってきいたら『嫌だ、いつもの保育園がいい』って言われて、すごく悩んだんだけど、病児保育に連れて行くことにした。ところが翌朝、子どもが気合で熱を下げてくれたので結局普通の保育園に連れて行けた。だけど、わたしは一晩すごく苦しかった。なんなら一日くらい子供の近くにいてやりたかったんだけど、翌日面接があったから会社に来た。たいきのパパさんは、どう思う?」

ちなみに年が近いので、リアルにため口。

私が話したのはこんなはなし。

①会社の理念について

この会社は子育て関連の会社で、子供第一主義みたいなことを理念に掲げてる。それを基準に考えたらどうだろう。子供を大事に考えなきゃいけない会社の人事の人が、自分の子どもを一番に考えられないなんて、おかしいんじゃないか。

②面接の仕事をキャンセルすることについて

面接なんて、面接官の子供が熱だしたので急遽キャンセルですって応募者に言えばいい。それで「失礼な会社だ」って言って辞退するような人と、これからの「女性が活躍する日本」で、私は一緒に仕事したくない。

今これだけ女性の活躍とか何とか言ってる中で、子育て関連企業に応募してるのに、子どもが熱出した面接官が急遽会社休む、くらいのことが理解できない人はそもそも縁がないから問題ない。

代わってくれる人がいるなら代わってもらったっていい。管理職や役員なら面接は出来る。もし万が一、その人たちも含めて誰かが文句を言うようなら、私が必ず説得する。でも、女性の採用がこれからの会社の発展の重要な課題である中で、ママさん社員をサポートできないような管理職は、うちにはいないことは社歴の長いあなたの方が知っているはず。

③いままでのこと

日本は、子どもを、みんなで育てることに決めた。それが、産休制度だし、育休制度だし、女性の社会進出を全面的に応援するっていうスローガンになってる。

ところが、今の30代のママさん達には、産休を取ったり育休を取ったりした先輩がいない。この会社もそうだし、日本全体も大体そう。制度はあっても、ちゃんとした使い方が誰にもわからない。あなたはその最初の人のひとりとして、なにをどうしたら会社にとって、母親にとって一番いいのか一人で考えざるを得ない立場に置かれてきた。そのなかで、どうしていいかわからないことがいっぱいあって、一人でいろんなことを抱えてきたんだと思う。

あなたやあなたと同世代のママさんたちが、それぞれの場所で一人でふんばって、がんばって、戦ってきた子育てと仕事の両立。それは、いままではそうせざるを得ない環境だったけど、いまこうして、あなたががんばってきてくれたおかげで、どんどん育休を取る社員も増えてる。入社する女子社員も増えてる。それが、この会社であなたががんばってきた証なんだ。

でも、だからいま、あなたも会社も、そろそろ次のステップに行かなきゃいけない。

④いまのこと

残念だけど、会社には、社会には、まだ子育てをしたことない人がいっぱいいる。私だって子育てをしたことはない(*当時はまだ子供いなかった。)。だから、子育てをしているお母さんが、今これで困ってる、こんなこともしてほしい、って言ってくれないと、残念だけど会社は何をしていいかわからない。わたしもわからない。

法律を守ってるからこれで十分子供とママを守れてるんじゃないかなんて勘違いしてる。ぼくらは、5歳児が熱を出すことも、病児保育を嫌がることも、言われれば理屈では分かるけど、言われなきゃわからない。ちゃんと体験としてわかってるわけじゃない。

そのストレスを、今まではあなたがひとりで抱えてきた。でも、本来それは社会全体で、少なくとも会社が、仲間が、みんなで抱えなきゃいけないストレスなんだ。

⑤これからのこと、仕事しろ

あなたの子供は、もう、これからは、あなたがひとりで育てるんじゃない。みんなで育てなきゃいけない。みんなで、あなたの子供とあなたを守らなきゃいけない。それが、ぼくらが会社として、国として決めたことだ。ぼくらひとりひとりが、あなたの子供を守るっていうことを一生懸命やることで、社会を発展させようって決めたのだ。

でも、一方でそれは、あなたの子供のことなんだ。それをあなたがやならいと何も進まない。もう、自分一人で子供を育てようと思うな。会社に子育てのストレスを押し付けるのがあなたの仕事だ。そのために給料をもらってるのだ。

人事という部署にいるからには、社員が働きやすい環境をつくることを考えなきゃいけない。今、このタイミングで、30代のママさんのあなたが人事にいるということの意味は、そこにある。そのことをしっかり自覚して、みんなのために、最大限わがままに、子育て中はこんなことがあるから、そういうときは会社に来られません!って発信しなきゃいけない。その場で判断して、どんどん仕事を休まなきゃいけない。週一回しか来ない私にこそこそ相談してる場合じゃない。

そうして初めて、ママさんが会社で働くっていうことの意味を会社が理解して、人の配置や、仕事の割り振りを考えることができるようになる。残念だけど、ママさんがひとりでストレスを抱える方向でがんばってしまうかぎり、会社も社会も変わらない。

今まではどんなに辛くても会社に来てたかもしれない。今度は、どんなにつらくても、めんどくさくても、それを会社に押し付ける努力をしなきゃいけない。あなたが言えなかったら、20代のママさん社員たちは、絶対にそんなこと言えない。そして、やっぱりこの会社も子供産んだら辞めなきゃいけない会社なんだって思って、どんどん辞めていっちゃう。あなただって、何回も会社辞めようと思ったはずだ。

あなたがママさん達を代表してわがままいうのは、一番大事な仕事なんだ。

私たちはそれをあなたに期待してる。仕事しろ。

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