赤ちゃんに夜に聞かせたい?名盤 ~協奏曲 変ロ長調「夜」(ヴィヴァルディ)他

子供に聞かせたい音楽

レコード名:Antonio VIVALDI CINQ CONCERTOS (パイヤール/ヴィヴァルディ=協奏曲集)

 

演奏:パイヤール室内管弦楽団 指揮:ジャン=フランソワ・パイヤール

フィオーリ・ムジカーリ(音楽の花束) 発売元:RVC株式会社

■曲目

・協奏曲 変ロ長調「夜」 ~ファゴットと弦楽合奏及び通奏低音のための(P.401)

・協奏曲 イ短調 ~ピッコロ(オッタヴィアーノ)、弦楽合奏及び通奏低音のための(P.83)

・協奏曲 変ロ長調 ~ヴァイオリン、オーボエ、弦楽合奏及び通奏低音のための(P.406)

・協奏曲 ト長調 ~2台のヴァイオリン、2台のチェロ、弦楽合奏(P.135)

・協奏曲 ヘ長調 ~ヴァイオリン、オルガン、弦楽合奏及び通奏低音のための

 

さて、概してこのヴィヴァルディの、あるいはバッハやヘンデルやコレルリといったバロック時代全般の楽曲というのは、編成が小さくて、赤ちゃんに聞かせるのにはちょうどいい。子供に聞かせるのにちょうどいいというのは、決してバカにしているのではなくて、大人が聞いたってもちろんいい。

多くても10人ぐらいの小編成で、ちょっとよく聞けば音楽に親しみがない人でもいくつ楽器を使ってるかぐらいはわかる。一曲一曲が短くて、きれいにまとまっているので、退屈しないし疲れない。

その中でも、ヴィヴァルディというのは、とにかく明るい。この「赤毛の司祭」と呼ばれたミュージシャンは、いったいどれだけ苦労知らずな人生を送ったんだろうと思うぐらい明るい。そして、かっこいい。

このレコードは、ヴィヴァルディが残した450余りの協奏曲の中から、ヴァイオリン以外の楽器のための協奏曲の名曲を集めたものらしい。ファゴット(バスーン)、ピッコロ、オーボエ、チェロ、オルガンと、個性的で豊かな独奏がいくつも聞けて、心楽しく最後まで聞くことが出来る。ちなみにどの曲も10分程度。

どの曲も、総じて、おなじメロディー(主題とかリトルネッロとか呼ぶ)を色々な楽器がいろいろな組み合わせで次々に演奏することで曲が展開していく。ある種単純にも聞こえる音楽だけに、ひとりひとりの演奏家に正確な演奏技術と、高い表現力が求められる。

このパイヤール管弦楽団は、いかにもフランスの楽団らしく、比較的軽快にではあるけれど、流麗になめらかに、軽々とこれらの曲を演奏しきっている。高い技術と表現力を持つ個々の力をとても感じる名演奏。

イタリアのオーケストラが演奏したらもっとメリハリの利いた、つまりはかっこつけた演奏になるんだろう。それはそれで、聞いてみたい。

 

最後にこのレコードの解説文を一部紹介。

「18世紀初頭の器楽曲と言えば、コレッリ風なソナタや合奏協奏曲がヨーロッパの主流を占めていた。そこでは、独奏楽器としてはもっぱらヴァイオリンが活躍し、しかもトリオ・ソナタの携帯が主体となっていれば、独奏部もリトルネッロも比較的短い部分に区切られてしまっていた。ところがヴィヴァルディは、独奏楽器の範囲を大きく開放し、管楽器、撥弦楽器(ブログ筆者注:ギターやリュート、マンドリン等)、擦弦楽器というように、様々な楽器をさまざまな組み合わせで登場させ、きわめて個性的に名人技を展開させたのであった。そこでは概して分散和音を中心とした細かな音型が次から次へと紡ぎだされ、その自由奔放さにはまさに目を見張るものがある。他方、リトルネッロは、クワンツの指摘通り、華やかさをそなえており、アクセントのあるリズムを踏みながら、独奏部と明白なコントラストを描いている。さらには、リトルネッロは主調から属調へ、そして並行調や同主調へ転調して反復され、楽曲の段落をはっきりと印象付けている。これらは、時には大きな弧を描いて、時には短くエコーしあいながらうねるように進んでいくのだが、18世紀初頭の聴衆には、これらは全く新鮮なものとして目に映ったことであろう。」(高野紀子)