赤ちゃんに昼のBGMとして聞かせたい音楽 ~ディヴェルティメント(モーツアルト) 聴き比べ *癒し系とナンパ系

子供に聞かせたい音楽

①発売元:日本フォノグラム 作曲:モーツァルト 曲名:ディヴェルティメント(K136、K137、K138)

演奏:イ・ムジチ 録音:1956年(K136)、1960年(K137、K138) *レコード

②発売元:ソニークラシカル 演奏:アンサンブルウィーン 録音:1991年 *CD

モーツァルトはディヴェルティメントと呼ばれる曲を20数曲書いているのだけれども、中でも一番よく聞かれているのが、この三曲。名前はそれぞれついていないので、作品番号でK136、K137、K138。ちなみにモーツァルトの作曲番号はK1~K626まである。全部で626曲書いたということ。Kはモーツァルトの書いた曲を順番に並べたケッヘルという人の名前を取っているので、K1はケッヘル一番、と読む。

この三曲はモーツァルト16歳の時の作品。天才か(笑)と思うけれど、まあ、まぎれもなく、天才なのだから仕方ない。

軽快なリズムで、溌剌とした旋律が流れるようにあふれてくる。クラシックだから、ということできちんと正座してこの曲を聴く人もいるだろうし、それはそれでいい。そういう、真剣な鑑賞に、十分耐えるだけの深い芸術性だのなんだのというものは、当然持ち合わせている。

でも、この曲は、お茶でも飲みながら、あるいは子供をあやしながら、子供とちょっと手遊びなんかしながら、聞くともなしに聞こえるともなしのボリュームで聞いちゃっていいのだ。あえて言おう。この曲はイージーリスニングと言っても差し支えない。真剣な鑑賞にも十分耐えるし、それでいて、イージーリスニングとして聞き流せるだけの心地よさと軽快さで流れていくのがこの曲なのだ。

今回は、アンサンブルウィーンとイ・ムジチの聞き比べ。

アンサンブルウィーンというのは、世界一のオーケストラ(のひとつ)であるウィーンフィルのバイオリン、ヴィオラの奏者とコントラバスという一風変わった編成のカルテット。結構なおっさんが演奏している。このアンサンブルウィーンのディヴェルティメントはまさに軽快そのもの。さらさらと音が流れて行ってしまう。パーティーのBGMとして使われるために録音したんじゃないかと思うような軽快さ。

イ・ムジチというのはイタリアの音楽学校の同窓生が集まって結成された楽団で、とにかく明るい。イ・ムジチの演奏したヴィヴァルディの四季のレコードは、クラシックで唯一のミリオンセラー。この、イ・ムジチの録音は、よくもわるくも、というべきか、なんというか、とてもイタリアらしい。つまり、”軽快”じゃなくて”軽薄”というのか。かっこいいともいえるし、エロいともいえる。エロいと言っても、いやらしいんじゃなくて、イタリア人の男性が、女性にアピールするエロさ。そういう色気がある。イ・ムジチはこの録音当時、結成から4年~10年のころで、アーヨをはじめとした演奏家たちはまだまだ20代と若い。そんなところもこの演奏のセクシーさに影響しているのかもしれない。

しかし、この二枚を聴き比べると、やはり、オーストリア人のおっさん、つまりまじめなドイツ音楽の正統的な継承者であるアンサンブルウィーンの演奏は正統的で職人気質で、とても流麗。小気味がいい。ひるがえって、とにかく明るいイタリアの若者たちの演奏は、かっこつけで、華麗で、美しい。聞いてくれ!そして、この、ヴァイオリンを弾いているおれかっこいいだろ!みてくれ!っていう声が聞こえてきそうである。

どっちもすきなのだけど、お客様が来たときはアンサンブルウィーンの録音で完璧なおもてなし空間を。子供と過ごす時間にはイ・ムジチの録音で、ちょっとくどいな(笑)などと思いながらも、抑揚の利いた演奏を楽しみたい。